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2018.10.09
リーマン・ショックから10年
世界はどう変わったか 
 
  2008年秋にリーマン・ショックが、世界を震撼させて10年。金融業界ではモラルハザードが起き、政治・社会の分野ではポピュリズム・極右勢力の台頭が世界的な潮流となった。この10年で世界はどう変わったか、検証する。

 2000年代、アメリカの住宅市場はバブルに陥り、多くの人々が住宅ローンを組んでいた。「住宅価は上昇するからローン返済も心配ない」と低所得者層も無理をして「サブプライムローン」にはまっていた。好景気であり余った資本が怪しげな金融派生商品で、低所得者の借金まで儲けの対象にしようとしたのだ。

 しかし、住宅バブルがはじけた。サブプライムローンで儲けていた証券会社リーマンブラザーズが2008年9月15日に破たんし、世界中の金融機関に波及。株価が暴落し、資本主義経済は「100年に一度の危機」に陥り、世界で首切り旋風が吹き荒れ、日本では派遣切りが横行した。

 それから10年。EUでは失業率はなお高いが、日米の株価は上昇、好景気が続いている。「資本主義は立ち直った」と言う論調もメディアに現れた。

 確かにリーマン・ショック後には、G20の財政金融政策が米国の大量のドル供給と相まってグローバルに展開され、金融危機の元凶だった米国では、投機的な金融活動への規制も行われた。しかし、中央銀行が国債を買い入れて市場に流した大量の金は金融資本の救済に回り、民衆には「緊縮財政」が押し付けられ、福祉切捨て・公的部門の人員整理と民営化が強行された。

 グローバル資本の回復の陰で世界中に格差と貧困が拡大し、そこからトランプ米政権が登場し、欧州では、排外主義・反EU・ファッショ的ポピュリズムが急伸した。ドイツでは、極右政党の支持率が第1位をうかがう。リーマン・ショック前には見られなかった、政治の異様な変容だ。

 そして今、世界は金融政策の「正常化」「財政規律重視」に向かっている。それは民衆にとっては一層の「緊縮財政」であり、雇用破壊・福祉削減・大衆増税である。低金利政策の修正で新興国の資金が米国へ流出し、新興国で通貨危機も再燃しかねない。

 欧米では、「反緊縮」を掲げ、コービンの英労働党や各国の新興左翼勢力が活性化し、極右も「反緊縮」を掲げ急伸している。どちらが民衆の支持を得るかで、欧州主要国の政治が左右されつつある。

 9条改憲を悲願とする安倍政権は、国民投票までは「財政規律」よりはバラマキを優先するだろう。しかし財界やメディアは、「消費税10%のその後」(20%以上への引上げ)と、「福祉の抜本的な改革」への布石を打っている。これに対し、野党第一党の立憲民主党は消費税増税に対抗する所得再分配政策を打ち出していない。

 9条破壊後の「緊縮」路線を許してしまえば、より右翼的な強権支配が出現する社会的土壌が作られかねない。欧州の極右の伸長と、それに抗する新興左翼の「反緊縮」政策を頂門の一針とすべきだ。
    

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