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2018.11.27
政経不可分?
『四島一括』の愚 
 ロシア東洋大学のA・コーシキン教授が2年ぶりに来日し、話を聞く機会があった。氏の「四島返還は国際法上も、ロシアの国内世論からもありえない」「ロシアがアジアに目を向けている今、日ロ関係の改善を期するのなら経済協力強化から」という立場に揺るぎはない。

 その翌日の11月9日、日本経済新聞夕刊が北方領土に関連する署名入り記事を掲載。そして14日、安倍首相とプーチン大統領の会談の様子が報じられた。

 日経新聞の記事で興味深いのは、同紙が過去に実施した1990年以降の6回の世論調査で「四島一括返還を貫くべき」との回答が「可能な範囲から」や「一部返還」を超えて最多だったことは一度もないとしていることだ。

 他方、ロシア国内の世論調査では「四島はロシアに帰属し今後もロシアに帰属」が過半数を占めた(16年の日本外務省調査)。そして1956年の日ソ共同宣言では「平和条約締結後にソ連は歯舞群島、色丹島を引き渡す」とされたことを紹介する。 

 ところでこの時期、日ソ交渉への米国の介入は「ダレスの脅し」として広く知られる(『サンフランシスコ平和条約の盲点』原貴美恵著など)。米は日ソの接近を阻止せんと日本政府を脅しつけた。北方領土のみならず、共産圏に帰属しそうな島は後々の紛争の種にすべく、あえて線引きを避けておくという米の戦略が実を結んだ形だ。

 日本政府はその策にのり、「四島一括」「政経不可分」にこだわり早期解決の道を自ら断ってしまった。野党も含むポピュリズムの存在が、結局は二島返還をも遅らせる結果となっている。
    

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