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2018.12.18
社会保障を破壊 消費と雇用悪化の元凶
格差と貧困拡大の消費税 
  来年10月に消費税を10%に引き上げようとする安倍政権が、またもや景気対策と称してバラマキ政策を打ち出した。しかし、景気対策というなら消費税を5%に下げれば済む。消費税の真の狙いを明らかにし、反消費税のうねりをつくろう。

 消費税引き上げを2回延期している安倍政権は、今度は必ず引き上げるという決意で景気減速と低所得者対策を次々と打ち出している。

 もちろんその中にも問題がある。一つにはキャッシュレス時代への対応で、ポイント還元でクレジットカードによる支払いに誘導し、生活と行動を把握しようとしている。

 二つ目には、マイナンバーカードと呼ばれる個人識別番号の普及促進である。制度開始以来3年近くたつ今年の6月時点で、交付率は約11・5%に過ぎない。やはりポイント還元で交付を加速しようとの企みがある。

法人税減税の財源!
 多くのその場限りの対策は、消費税に対する国民的な反発があることを裏付ける。89年の3%導入時の参議院選挙では自民党が大敗し、参院での逆転が起こった。5%への引き上げを決めた村山富市政権は日本社会党を崩壊させたし、やはり公約を投げ捨てて10%引き上げを決めた民主党政権も、その座を自公政権に奪われている。 これらの教訓や8%引き上げ以降の消費の冷え込みを認識し、政権を守り改憲を果たすためにはと、10%引き上げを遅らせていた。

 しかし、巨額の政治資金の提供を受けている財界の要求からはもう逃れられないと腹をくくった。今度こそは10%に引き上げる。

 財界の要求ははっきりしている。図表1を見ると明らかだ。大企業や高額所得者の減税のための財源の必要性といってよい。

 消費税収が17兆円の16年度の主要三税収入は44・5兆円。消費税導入年の89年とほぼ同じだ。消費税が法人税や所得税減税の肩代わりとなっているのは歴然だ。それは、図表2の所得税・住民税の最高税率と法人税率の推移でも裏付けられる。

 そして輸出戻し税(還付金)の存在がある。これは輸出する際に仕入れにかかった消費税を転嫁できないので、その負担分を還付する制度だ。

 しかし、大企業は消費税を負担しているのだろうか。消費税分を納入単価の切り下げで対応しているといわれている。この還付金額は財務省の16年度予算で5兆円。輸出大企業は笑いが止まらない。

 また、直接雇用から請負や派遣労働者に切り替えれば、これにかかる消費税は控除対象。雇用悪化にも手を貸している。

年金・医療・介護不安増大
 これからの高齢社会のためと称して導入以来、消費税は社会保障のために使うものと喧伝され、社会保障の充実のために消費税増税は仕方がないと思わされてきた。

 しかし、逆に消費税が社会保障を破壊していると聞いたら驚くであろうが、それは事実である。

 何よりも年金が減り、医療費や介護負担が増えている。子育て支援の待機児童解消はいつまでたっても先送りであり、保育の質は無視される。

 その背景には、財界の社会保障負担は企業の競争力を弱めるものだという一貫した認識がある。小泉政権は「聖域なき構造改革」と称して、社会保障にも手を入れ、その自然増分を毎年2200億円抑制した。

 その後継、安倍政権はそれを加速させている。13年度からの6年間で自然増カットや年金などの給付カット、医療の窓口負担増など、約3兆9000億円も削減している。

 しかし、それは民主党政権末期の「社会保障と税の一体改革」で決めた方向性に沿っている。だから、元民主党の議員は消費税の態度が煮え切らない。

まず5%に戻せ
 そして公明党対策ともいえる食料品の軽減税率。これも混乱が大きく、現場は事務負担と設備投資に困惑している。

 食料品を8%にすえおくというが、これでは生活必需品の軽減税率として不十分極まりない。例えば、付加価値税20%のイギリスでは食料品などはゼロ、同20%のフランスは5・5%、22%のイタリアは4%。、19%のドイツは7%である。景気対策というなら5%に戻すのが一番。

 すでに日本では税による所得再配分はなくなっている。それは税の応能負担原則が弱まり、低所得者ほど負担が重くなる消費税が中心となっているためだ。

 この税制を転換させること、税制をゆがめ、甘い汁を吸い続けている大企業や富裕層に応分の負担をさせる税制の再構築が必要だ。フランスでは「黄色いベスト」で増税を撤回させた。
    

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