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2018.07.17
辛淑玉連載 たんこぶアメリカの良心、なんなのか

連載第540回
 
  手元に、1枚の写真がある。 泣く子どもの靴ひもを結んでいる母親の姿が写っている。この数秒後、親子は引き離され、子どもは収容所に入れられた。「パパ」「ママ」と叫ぶ子どもの声が世界のメディアで放送された。トランプによる(主にメキシコからの)「不法移民」対策の一つである。

 この事件はヨーロッパのメディアでも、驚きと怒りを持って連日報道された。あの、イギリスのメイ首相でさえ、「私たちが同意できるものではない」と述べた。

 歴代大統領の妻たち4名も声をあげた。 トランプの妻メラニアは「見るのがつらい」と言い、ブッシュ(Jr)の妻ローラは地元紙に「この政策は残酷で不道徳だ。私の心を壊してしまう」と語った。夫がイラクでさんざん無差別殺戮をするのを放置しておいてよく言うよ、とは思うが、問題を目の前に突き出されれば、考えざるを得ないのだろう。

 さらに、アメリカン航空とユナイテッド航空は、トランプ政権による移民親子の引き離し政策に反対して、移民の子どもを全米各地に移動させるための飛行機の利用を拒否した。「当社の任務は、世界の人々を繋ぎ、世界を一つにすることである」と。

 この二つの航空会社、サービスは悪いが、志は真っ当だ。

 カリフォルニア州知事は国境沿いに展開していた州兵を引き上げさせ、同州サンディエゴの連邦地裁は収容されている子どもを30 日以内(4歳以下の子どもは14日以内)に親と再会させる命令を含む判決を下した。

 トランプに問いたい。アメリカに移民でない人間がいるのか?と。いや、もっと言えば、先住民を殺しまくって奪った土地に入植し、奴隷を酷使してのし上がり、戦争商人として君臨してきたお前たちが、どの面下げて言ってるんだ、と。

 アメリカそのものが、人道に対する罪で成り立っているのではないか。善良ぶる姿の向こうに、そういうことは俺たちの目に見えないところでやってくれ、というメッセージが見え隠れする。

 世界中で移民・難民を生み出しているのは、お前たち覇権国だろうが。


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