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  2. 週刊新社会 >2019.12.10

辛淑玉連載 たんこぶ
依存症
連載第606回
 女優の沢尻エリカさんが合成麻薬の所持で逮捕され、報道番組のトップを飾り続けている。この手の事件は、政治報道を極力やりたくないテレビ局にとってはありがたい事件なのだろう。

 思えば、元五輪体操選手の岡崎聡子さんは、薬物の使用と所持で8回の逮捕を繰り返し、人生の半分以上を刑務所の中で過ごしたという。

 元タレントの田代まさしさんも、更生施設ダルクに通いながらも薬物で5回の逮捕を繰り返し、その度に大きく報道された。依存症からの更生がどれほど難しいかがわかる。いくら逮捕しても、懲罰をベースとする日本の刑務所では更生はほとんどできないだろう。

 イタリア・ミラノの刑務所では、刑務所本来の趣旨である更生を目的としたものに変わろうと、社会実験が繰り返されている。

 囚人服はなく、一定期間の刑期を終えれば、社会復帰のため、刑務所から通う形で一般の企業に就労もできる。運営には大学もかかわっているので進学も可能だ。所内に娯楽施設もあり、コミュニティ誌を発行したり、様々な技術を習得することも、農業に従事することもできる。

 刑務所の運営するレストランはトップクラスの美味しさで、ネットのランキングでも常に上位に位置している。接客も愉快で、ここでの食事は本当に楽しいひと時だった。

 もちろん、医療体制もカウンセリングも驚くほど充実していた。これらは、イタリア市民が精神病棟をやめて社会で彼らをケアしていくと決めたこととも通底する、共生思想の現れと言っていい。刑務所で一番更生が早いのが殺人犯で、更生が難しいのは長年詐欺を繰り返してきた人、との指摘には考えさせられるものがある。

 嘘をつき続ける人には、社会との関わりに「安心」がなく、そうしなければいられないかのようだ。それが止められないのだから、ある種の依存症と言えるのだろう。

 日本社会が嫌韓に依存しないと生きていけないように、日本の政治は「嘘」に依存して政権運営を続けないと保たないかのようだ。人々を欺き続ける彼らを更生させる術は、どこにあるのだろうか。



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