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2018.10.09
辛淑玉連載 たんこぶ『働かない』という抵抗 

連載第551回
 
  バーデンバーデンの歴史的風呂屋に行って、プール風呂のところで、サウナはどこにあるのか聞いたら、「俺はプールの担当だから知らない」と言われた。

 デュッセルドルフ空港の軽食屋で、開店時間なのに選べる食材が並んでいないので、今日はないのかと聞くと、「さぁ?」と。10分後、マネージャーらしき人が来て、店員のすぐ後ろにある、中が透けて見えている冷蔵庫から食材を出して並べた。店員は何食わぬ顔で売り始めた。

 そう、たとえ客が待っていようと、注文されようと、そこに素材があろうと、彼女の仕事の範囲に「冷蔵庫から出す」という作業は入っていないのだ。この国では、仕事の範囲に拡大解釈はない。

 日本の宅配便のように、運転して荷物を運び、指定時間を守って届け、集荷もして、割引サービスを考慮しながら料金を計算して領収書を発行し、その上お客からの苦情にまで応えるなんて、まさに「神対応」。ドイツなら4人分の仕事量だろう。に、運転して荷物を運び、指定時間を守って届け、集荷もして、割引サービスを考慮しながら料金を計算して領収書を発行し、その上お客からの苦情にまで応えるなんて、まさに「神対応」。ドイツなら4人分の仕事量だろう。

 世界基準から言えば、ドイツのサービスは平均点を上回っている。 それでも、トラブルを解決できないケースがざっくり半分。解決できても時間がかかるのは当たり前で、数カ月で済めば幸運、ということを学んだ。

 しかし、快適でない分、小さな幸せがどんどん増えてくる。例えば、スーパーの玉子が一つも割れずにパックに入っていたとか、自動販売機がちゃんと動いてお釣りが出てきたとか、電車が時間どおりに来たとか、引き落としの金額が契約のとおりだとか、自転車がパンクした時、ちゃんと自転車屋が開いていて部品もあったとか、その都度大喜び。

 だって、賃金に見合う仕事というのはそういうものだからだ。金を多くもらっている者が責任を取る。安い賃金で働く者が責めを負わされるなんて間違っている。みんなが不便であるというのは、社会が健康な証拠でもあるのだ。

 他方、日本は過剰サービスの上の「おもてなし」。その上、オリンピックのために真夏の炎天下で無償のボランティアだなんて…。仕事に喜びを、国家にご奉仕をって、日本人、大丈夫か?



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