新社会党トップへ
  1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. たんこぶ
2017.09.19
辛淑玉連載 たんこぶ
人間の断捨離
連載第501回
 
 

 米バージニア州で、白人至上主義者のデモに抗議していた集団に車が突入し、女性一人が死亡した。車を使ったテロはヨーロッパでも起きているが、最も早かったのは日本だ。レンタカーで人混みに突っ込んで7人を殺し10人を負傷させた秋葉原通り魔事件(2008年)である。この手のことでは、日本がいつも先頭を切っている。
 昨年、障害者施設「津久井やまゆり園」で起きた殺傷事件では、19人が殺され26人が負傷した。犯人の青年は以前この施設に勤めていて、「価値なきもの」を殺すことは正義だと考え、やれば安倍首相に褒められると思っての行動だった。ナチスの優生思想そのものを体現したテロだったにも関わらず、いまだに政府による明確な非難声明はない。差別を煽ることで政権を維持している安倍には、非難などできるはずがないのだ。
 軍事費を増やし福祉を削る安倍の「一億総活躍」は、裏を返せば、働けない者は死ねということだ。
 あの惨劇は、先の見えない社会で生き残りをかけた奪い合いの死闘が始まった結果なのではないか。「実費負担できない人工透析患者は殺せ」と言った長谷川豊や、「保険料は健康な人も負担している」と言う為末大の言葉からも、社会の「お荷物」となる人間への「断捨離」の匂いを感じる。
 きっと、彼らが最も捨てたい無価値なものとは、長生きする老人たちなのだろう。自分で稼いで生活を維持できる年齢を過ぎても生きているからだ。終末医療の切り捨てを口にする政治家を見ても、超高齢化社会への処方は、「早く殺すこと」に集約されている。
 そして、国家の借金をすべてチャラにできる戦争を煽る。北朝鮮危機だけが、無能な日本の政治家を救う最後の駒なのだろう。
 辺野古のオジィやオバァが若い機動隊員から罵倒されモノのように扱われる動画に「イイネ」を押す数の多さは、沖縄だけでなく高齢者に対する憎しみもあるのだろう。戦争に反対する高齢者が、国家の敵とされてしまった。
 人殺しの罠にはまるな。捨てるべきは、命に鈍感な現政権だ。





 ↑上にもどる
トップへ

週刊新社会トップへ