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2017.12.12
辛淑玉連載 たんこぶ
依存症としてのチカン
連載第512回
 
 

 腕がいいと評判の痴漢側の弁護士によると、痴漢の疑いで捕まった人すべてが、最初は「オレはやってない」と言うそうだ。留置されると「ちょっと、やったかもしれない」と言い、翌日になると「やりました」になると。
 なぜ痴漢をしたのかのインタビューで最も多かった回答は、「まさか訴えるとは思っていなかった」である。中には、昔付き合っていた女性と似ていたからというのもあった。
 要は、相手をナメているのだ。
 かつては変態男の仕業だと思われていたが、実は痴漢は「依存症」だという報告がある。1000人の性犯罪者を12年間治療してきた医師によると、三〇代を中心にした四大卒の会社員で働き盛りの男が多く、性欲でやっているわけではないという。仕事の疲れと満員電車という環境、そこに男尊女卑が加わって、ある日、ちょっとお尻に触れても相手が騒がず、何も問題にならなかったことから快感を得て、それが引き金となり、どんどん技を磨きエスカレートしていくという。
 そして、「結構バレない」とか「相手も喜んでいる」と錯覚し、「捕まったらおしまいだ」という感覚も加わってスリルが増していく。 お尻に手を当てることから始まった行為が、パンツの中に手を入れるまでなっていくという。
 声をあげる被害者はわずか一割。恐怖のゆえだ。酷いことをされているのに誰も助けてくれない中で、どうやって声を上げればいいのか。その傷は深く、社会との関係にダメージを与える。
 くだんの弁護士によると、和解の一番効果的な方法は、妻と子どもが被害者宅に行って土下座して謝ることだという。しかし、初犯年齢が平均三三歳で、逮捕時年齢の平均が四一歳と聞くと、おい、何年痴漢やってんだよ、と怒鳴りたくなる。
 変態でも依存症でも、他者を傷つけているという認識が欠落してることには変わりがない。「男」という生き物は、どうしてこうも不良品率が高いのだろうか。女の身体を触り、女に土下座してもらい、女に褒めてもらわないと生きていけないのか。
 こう書くとまた、「痴女だっている」とか言い出すんだろうな。しょうもない。





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