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2018.11.13
辛淑玉連載 たんこぶ
児童相談所建設反対運動
連載第555回
 現在、ドイツの日本研究所に所属しているため、嫌でも毎日日本のニュースをチェックしなければならない。そのたびにため息が出る。同僚に問われても説明ができないことが本当に多くなった。

 先日も、港区青山で、予定されている児童相談所の建設に住民が反対しているという記事を読んだ。確かに今までも、精神病院とか福祉施設とか、ときには幼稚園などにも反対運動が起きてはいたが、今回のはその反対理由がすごい。

 「青山の地にそぐわない公共施設によって、街が分断される」「海外からの観光客へのアピールがない」「青山の街に夢がなくなる」「街の発展のブレーキになる」「貧困家庭の子どもは来るな」「田町に作れ」などなど。

 反対運動の首謀者は不動産業者らしいが、自分たちの資産価値が目減りすることに対する危機感が動機だとしても、稚拙すぎる。

 むしろ、こんなことを口に出して言うことに何の抵抗も感じていないことのほうが恐ろしい。

 目先の金ばかりが気になるという意味では、あの相模原大量殺戮事件の犯人とも通底するものがあるように思う。犯人の青年は国の借金を気にして、正義の名の下に「役に立たない障碍者」を殺しまくった。自分がその施設に勤めていたのにだ。時間と空間を共にした人たちを殺した一方で、国民の税金を私物化している安倍には褒めてもらえると今でも思っている。

 ベルリンでは数日前、排外主義者に反対する24万人のデモがあった。多様性のない社会はナチス時代に通じるからだ。ニュースでは、このデモに参加した一人の少女が、「うちのおばあちゃんが私たちに、いつも『絶対にあの戦争の時のようにしてはいけない。もしそんなことになったらお前たちは全力で戦わなければいけない』と言ってたからデモに来ました」と語っていた。同じ言葉を、日本の戦争体験者は、どれだけ子や孫に伝えただろうか。

 生活保護受給者叩きの急先鋒の片山さつきが、口利きで100万円受け取っても地方創生大臣のイスに座り続けられる今の事態は、戦争の時より酷いかもしれないな。



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