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2017.07.18
辛淑玉連載 たんこぶ
ダブルパンチ
連載第493回
 
 

 母を名前で呼ぶようになって久しい。子どもが二十歳を過ぎたというのに、いつまでも「お母さん」なんかやりたくない、というのが彼女の主張だったからだ。以来、わが家では、母のことを「ケイコさん」と呼んでいる。
 先日、いつものように「ケイコさん」と私が呼ぶと、「ケ・イ・コ・さ・ま」と返事が来た。えっと思って、「ケイコさん?」ともう一度呼ぶと、また「ケ・イ・コ・さ・ま」。


 あの、「ハゲー!!」と絶叫した安倍チルドレンの豊田真由子議員が、自らを「真由子様」と言っていたのをマネしているのだ。そして、「昔はケイコちゃん、昨日まではケイコさん、そして今はケイコさまに昇格した」と意味不明なことを言う。
 やむなく「すごかったよね、あの、秘書に対する人間性のなさ…」と話し始めたら、「ほんとにすごい!」「私も、一度でいいからあんなふうに怒鳴ってみたい〜!」と目をキラキラさせている。
 えっ、そっち?と、耳を疑った。
 母の中では、あの豊田議員が強い女の象徴となっていたのだ。母は、長い間、夫や社会にビクビクしながら生きてきた。そのせいか、あの常軌を逸したパワハラ絶叫に、男なんか怒鳴りつけてもいい、政治家だってやってるんだから、と自信を持ったようなのだ。
 めまいがした。
 そして、蕎麦屋に入ると今度は「ケイコさまファースト!」と始まった。小池都知事の「都民ファースト」を応用して、親を大事にしろオーラを出しているのだ。
 レイシストの成れの果てが「日本第一党」で、さらにそれをえげつなくしたのが「都民ファースト=都民第一党」だ。要はこれ、「オレ様が一番」なのだ。
 電力を始め、首都東京がどれほど地方を蝕んで栄えているかという認識が欠如しているし、小池の言う「都民」の中に在日は入っていない。しかも核武装を主張する極右で、沖縄の玉木議員を「日本語わかる?」と揶揄したほどの、根っからの差別者だ。
 だのに、よりによってわが母が、豊田と小池を合体した「ケイコ様ファースト!」を喜々としてやっている。きっと、世の中って、こんな感じなんだろうなぁ…。




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