新社会党トップへ
  1. トップ
  2. 週刊新社会
  3. たんこぶ
2018.08.14
辛淑玉連載 たんこぶ正しい迎え方

連載第543回
 
 以前米国で、日本研究を専門とする学者にインタビューしたことがある。そのとき、「日本は、米国からひどいことをされればされるほど米国を尊敬する国だ」と言われた。 安倍を見れば、図星だなと思える。

 ヨーロッパでは、トランプは厄介者扱いだ。北大西洋条約機構(NATO)首脳会議で「お前らも相応の軍事負担をしろ」と恫喝するトランプに、EU諸国はどこも「ああ、また始まった」と言わんばかりに、「努力目標を確認しました」と、シラーっと対応していた。

 米ソ冷戦の遺物であるNATOを更に増強するなんて、もはや現実的ではないからだ。EUが抱える難民問題も、元は米国のイラク侵攻からスタートしたことを誰も忘れてはいない。以前、米軍基地が返還されたとき、住民たちがNATOから賠償金を取ったという話を聞いて、真っ当な住民運動だな、と思った。

 日本の市民運動は、多くが政治性を奪い取られ、気がつくと慈善事業のようになってしまっている。これは、権力からの仕返しが怖いからだ。要は、権力に媚びることで身の安全を図っているに過ぎない。

 日本政府が米国に媚び、国民が政府に媚びる。その結果、異議を申し立てる者には国家とネトウヨ大衆が連合して叩きにくる。これが日本の伝統「いじめの構造」である。

 そんな日本の心根は、米国だけでなく、多くの国から見透かされている。ドイツにいて感じるのは、それぞれの国が互いに競争し、決して媚びないのがEUの強さだということだ。

 その競争が、かつては植民地争奪戦にもなったが、今はEU憲法を作ろうという人権確立の競争にもなっている。

 多様な人々を内包する社会こそが強く、持続可能だということを、EUはその歴史から学んでいる。だからドイツは、勝つために人権の旗を降ろさないし、トランプがいくら吠えても国家として動じない。ビビっているのは日本の報道機関だけだ。

 イギリスのロンドンでは、トランプに投げつけるための魚の内臓を無料で提供する魚屋さんが出現したという。正しい。

 クソにはクソにふさわしい迎え方があるはずなのだ。



 ↑上にもどる
トップへ

週刊新社会トップへ