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安倍首相辞任に対する書記長談話

2020/09/01
 戦後最長・最悪の政権を担った安倍晋三首相が8月28日、やっと辞意を表明した。体調悪化を理由としているが、国会内の数の多数ではどうしようもない新型コロナ対策の不手際で、頼みの内閣支持率が低迷し、安倍政権への嫌気が高まった結果である。

 2012年12月に発足した安倍政権はおよそ民主主義国家における政権運営とは正反対のものだった。ひたすら大企業やそれに連なる富裕層の利益追求の代理人としてふるまい、圧倒的多数の勤労諸階層の暮らしを不安定化し、社会の分断を生み出した。福島第一原発事故をあたかもなかったかのように原発再稼働を進め、自然エネルギー転換にブレーキをかけ続けた。

さらにはこれまでの歴代政権が違憲としてきた集団的自衛権を合憲として2015年に戦争法を強行し、米国の武器爆買いと米軍との一体化を進めた。沖縄県辺野古基地の建設強行は差別意識の表れであり、憲法9条をいっそう形骸化するものである。外交においても憲法の平和的理念に基づくものではなく、近隣諸国と摩擦を起こすことによって憲法改悪の道を掃きならすものであった。また身内に便宜を図る政治の私物化は問題を多発させ、それに対する説明を尽くそうとしない政治姿勢は民主主義を壊しかねない危険性をはらんでいる。

 これらの安倍政権の悪行と危険性は、何としても安倍政治を止めたいとの声が広がることになり、市民と野党の共同を生み出した。それは全国各地での日常的な共同行動や選挙共闘として大きく広がることとなった。昨年の参議院選挙では改憲議席の3分の2割れを生み出し、「改憲いのち」の安倍首相の意欲に水を浴びせた。

 わたしたちは首相が辞意を表明したからには速やかに臨時国会を開き、新型コロナ感染が招いたいのちと暮らしの危機に対する対策を講じることを要求する。そして貧困と格差をなくし、生活の安定と希望が持てる連帯と共同の社会をつくる第一歩を踏み出す社会の転換点としなければならないことを訴える。
以上