今週の新社会

国会閉幕 政治の劣化浮彫り

2020/12/15
総がかり行動実行委員会主催の「国会議員会館前緊急行動」


不誠実で無能な菅首相

民意にそっぽ

 第203臨時国会は12月5日閉会した。新型コロナ対策や日本学術会議、安倍晋三前首相の桜を見る会前夜祭の会費補填問題が焦点化したが、菅義偉首相の不誠実さと無能が政治の劣化を露呈した。

 「お答えを差し控える」が常套句の菅首相答弁。首相であるからには責任を持って国民に説明を尽くす責務があるが、あまりにもひどい。しかも、答弁書の棒読みだ。

 6名の日本学術会議会員任命拒否問題は答弁をくるくる変え、常套句で逃げる。新型コロナの第三波の前で、GoToキャンペーンにこだわり、機敏な感染防止対策を打たず、国民の不安を高め、医療危機を招いた。

 また、新型コロナ収束の見通しがないまま東京五輪・パラリンピックを強行しようと、11月15日来日したバッハIOC会長から、開催の言質を取った。

 国会開会中に「桜を見る会」前夜祭の会費補填に検察の手が入った。野党は、首相時代に国会で虚偽答弁を重ねた安倍前首相の招致を求めたが、与党は拒否。秘書の起訴で終わらせてはなるまい。

 菅首相も1500円会費で、自らの選挙区にある横浜市内の高級ホテルで14年、15年に大規模な集会を開いたが、政治資金収支報告書に不記載。会費では会場使用料も不足、「桜を見る会」前夜祭と同じ疑惑が生じた。

 旅行代が割引になるGoToキャンペーンは同じ構造であり、しかも税金で政権が国民を買収する買収政治そのものではないか。

 成立した法律では、日本農業に暗雲をもたらし、巨大アグリビジネスに利益拡大の道を開いたのが種苗法改定。農家が生産する際、登録品種に利用料を払うことになる。農産物は生産コスト増を市場価格に反映できない弱い立場で、ますます生業として立ち行かなくなる。また国民投票法改定案が審議入りした。

 菅政権はまた、コロナ禍に便乗して中小企業の淘汰を進めようとしている。全てを生産性ではかる社会では人の命と尊厳は後回しになる。政治に求められているのは、誰一人取り残さない雇用と社会保障の確立だ。

 感染対策より経済を優先し、菅首相の不誠実極まりない答弁などによって内閣の支持率は、前月比12・7ポイント急落した(共同通信が12月4~5日調査)のは当然だ。