今週の新社会

ツケは庶民に
遅すぎた「宣言」 責任は重大だ

2021/01/19
 菅政権は1月7日になって東京、神奈川、埼玉、千葉の1都3県に飲食店の時短営業などを求める1カ月間の緊急事態宣言を発令したが、遅きに失した。新型コロナ感染の第三波が襲来した11月段階で野党の要求を無視、年末までGoTo事業に固執し、ツケを庶民に回した菅義偉首相の責任が厳しく問われる。

 緊急事態宣言を発した7日の感染者数は、東京都が2447人、神奈川県679人など全国で7533人となり、3日連続で最高を更新した。また死亡者は45人増えて累計で3879人となった。

 立憲野党は先月2日、①休業要請と補償のセット、国負担による給付金支給、②行政検査以外も含めPCR検査体制整備と国の財政支援、③軽症者・無症状者の待機場所確保と、そのための国の財政支援を柱にした特措法等改正案を提出したが、政府・与党は臨時国会の閉会を強行した。

 菅首相は感染経路不明の主要因を飲食店での会食と決めつけ、夜8時での閉店を要請したが、G oToイートなどにこだわったのは政府であり、責任転嫁も甚だしい。しかも、率先すべき国会議員が自らの会食等の制限すら決められない。

 立憲野党側は、5日に開かれた政府・与野党連絡協議会でも特措法改正には休業事業者の給付金法制化など十分な補償と医療・検査体制の強化を要求。また、今月15日が申請期限の持続化給付金と家賃支援給付金の継続と複数回の支給、2月末期限の雇用調整助成金の特例支給延長を要請した。

 今回の緊急事態宣言で営業時間短縮を要請された飲食店には、1店舗当たり1日最大6万円の協力金が出されるが、損失補償ではない。事業規模によってはこの金額では持ちこたえられない。

 それ以上の営業危機に見舞われるのは、映画館やゲームセンターなどの遊興施設だ。時短営業の協力依頼はされるが、協力金は支払われない。しかも、年後8時以降の不要不急の外出制限によって客足が遠のき、事実上の開店休業を迫られる。

 18日開会の通常国会には、新型インフルエンザ等対策特別措置法と感染症法の改正案が提出されるが、野党が求める補償金全額支給と、要請に事業者が応じない場合の50万円の過料などの行政罰が焦点となる。行政罰については野党の足並みがそろっておらず、罰則が法に組み込まれる恐れがある。