今週の新社会

脱原発社会を
「福島は五輪どごでねぇ」

2021/04/13
 
刑事告訴団事務局長
地脇さん怒り

 炉心溶融の大事故を起こした東電・福島第一原発は福島県を中心に東北・関東、ひいては地球の放射能汚染を10年以上にもわたって続けている。自民党政府の原発推進政策に抗議し、脱原発社会の実現をめざして3月27日、「さようなら原発首都圏集会」が東京・日比谷の野外音楽堂で開かれた。
 
さようなら原発 首都圏集会
1500人デモ

 主催者挨拶した鎌田慧さんは、「福島原発事故から10年たった。でも政府は2030年に原発を20%やると、まったく反省がない。福島の人たちの10年間の苦痛、故郷を捨て、家族を捨て、畑を捨て、海を捨て、散り散りに逃げまどって途中で亡くなった人も、自殺した人もいる。まだ4万人以上も還れていない」「こういう政府を私たちは倒すことができない。残念だ」「原発反対が80%を占めるのに、原発で儲けようとする不道徳な人たちが国会で多数を占めている。これは民主主義ではない」と糾弾した。

 続いて、「さようなら原発一千万署名 市民の会」の呼びかけ人で90歳を超えた作家の澤地久枝さんは、「命のある限り反原発の志を伝えていきたい。特に若い人に」と語った。

 フクシマからは原発事故刑事告訴団の地脇美和事務局長が、賠償や住宅支援打ち切りなどを告発、東京五輪・パラリンピックの聖火リレーに触れ、「原発事故は収束していない。福島はオリンピックどごでねぇ」と訴えた。

 事故当時首相だった菅直人衆院議員が飛び入り挨拶し、「国会で原発ゼロ法案が棚ざらしになっている。総選挙で1人でも多く脱原発議員を国会に押し上げて」と呼びかけた。

 事故当時に城南信用金庫理事長の吉原毅・原自連会長(原発ゼロ・自然エネルギー推進連盟)が、「保守的な人も原発反対にすることが必要。原自連は小泉純一郎、細川護熙の両元首相を顧間にしている。経済のためにも脱原発」と盛り上げた。

 そして、東海第二原発の運転差し止め訴訟で勝訴(3月18日)した原告団の大石光伸共同代表が、水戸地裁判決の報告と控訴審を闘う決意を表明した。

 閉会挨拶で作家の落合恵子さんは、「若い時には人生は長編小説だと思っていた。70歳を過ぎて考えると驚くべき短編小説だった。短編だからこそ最後はしっかりと書かせてもらおう。これからの数ページに人生の答があると信じましょう」と力強い反原発のエネルギーでまとめた。

 集会後、入場制限のため会場外で待機した200人も合流して1500人が途中、東電本社前で抗議し、アピールしながら銀座をパレードした。(写真)