今週の新社会

死者を冒とく
辺野古新基地に”遺骨土砂” 中止求める

2021/05/11
防衛局・厚労省(手前)を追求する具志堅高松さん。その右は北上田毅さん、
具志堅さんの左は沖縄戦で祖父を亡くした米本わか子さん
=4月21日、衆院第一議員会館


 辺野古新基地建設に沖縄戦の遺骨混じりの土砂! 人の感覚では考えられない暴挙を防衛省が強行しようとしている。これに対して、沖縄本島南部の土砂採取中止を訴える沖縄戦遺骨収集ボランティア「ガマフヤー」代表の具志堅隆松さんらが4月21日、中止を求めて防衛省・厚労省と直談判した。

 衆院第一議員会館での交渉には元土木技術者で沖縄平和市民連絡会の北上田毅さんと、千葉県在住の沖縄戦遺族、米本わか子さんが同席した。集会と交渉を後押ししたのは、戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会や、「止めよう!辺野古埋め立て」国会包囲実行委員会など4団体。

 集会で、遺骨の混じった土砂採取禁止を訴え3月、沖縄県庁前でハンストを行った具志堅さんは「沖縄防衛局に人の骨が混じった土砂を使う計画は人の道に外れていると思わないかと何度質問しても答えず、強行しようとしている」と訴えた。

 北上田さんは、「防衛省はどこから土砂を採掘するか決まっていないといつも逃げる」と批判した。

 宗教者が沖縄戦没者の尊厳を守ってほしいと集めた署名を渡して政府交渉が始まったが、防衛省は「採掘場所は工事の実施段階で決まる。しっかり検討する」と繰り返すだけ。

 厚労省は、遺骨収集に全力を尽くすとしながら、沖縄南部を土砂採掘の候補地から外すよう防衛省に要請すべきだとの追及には答えようとしなかった。

 米本さんは沖縄戦で亡くなった祖父の遺影を胸に、「祖父の遺骨は戻っていない、沖縄で眠っている。戦争で殺され、採掘業者に殺され、今度は辺野古の海に埋められて3回殺されなければいけないのか」と声を震わせた。

 戦争のための基地を戦争犠牲者の遺骨混じりの土砂で建設することは人道に反し、死者を冒とくするものだ。

 一方、沖縄県は沖縄防衛局の設計変更について4月22日、軟弱地盤が最も深い地点の力学的試験の必要性や地盤の安定性など8項目・105件の質問を防衛局に提出した。