今週の新社会

無責任政治の極み 自公政権倒そう
コロナ無策 改憲策動 オリ・パラ強行へ

2021/05/18
 
衆議院憲法審査会での国民投票法改定案可決に抗議
=5月6日、衆院第二議員会館前(写真)
 
新型コロナワクチン接種回数ランク
=100人あたり累計接種回数。日本経済新聞社と英国フィナンシャル・タイムズの集計による。(図)


 新型コロナ対策の致命的な遅れの一方、「憲法改定国民投票法」など改憲に血道を上げ、東京オリ・パラも強行しようとしている。正に無責任政治だ。総選挙で自公政権打倒、少なくとも痛撃を加える準備を加速しよう。

 最低投票率規定の欠如や広告規制の不徹底など、欠陥だらけの国民投票法の改定案が衆院を通過した。反対していた立憲民主党は、改定案に「改正法施行後3年をめどに検討を加え、必要な法制上の措置を講ずる」などの付則を盛り込むことで今国会成立を認めた。

 現行国民投票法は成立時に多くの問題を残し、附帯決議で指摘された項目は未解決だ。その状況で付則に見直し条項を入れても、見直しされず、改憲発議・国民投票へ進む危険性は高い。

 5月3日の国会前と全国をオンラインでつないだ憲法集会でも、新型コロナ第4波の変異株による感染拡大と患者の全世代化、重篤化の下での改憲論議に怒りの声が上がった。

 江戸文化研究者で前法政大総長の田中優子さんは、「憲法記念日に憲法を読み、自民党の憲法改正草案と比べてほしい。自民党は憲法改正と言っているが、まったく別の憲法だ。憲法規定を個人から人に切り替え、公益、公共の秩序に変える思想が鮮明になったのが、新型コロナの下での経済や五輪優先、企業側に立った非正規問題の放置」と指弾した。

 政権のコロナ対策の失敗を、憲法に緊急事態条項のないことに原因をすり替え、この期に及んでも東京オリンピック・パラリンピック開催にこだわるのは異常極まりない。

 図が示すように日本のワクチン接種は遅れに遅れており、失政から目をそらさせようと、インドの感染蔓延ニュースを垂れ流す。そのさ中に75歳以上の高齢者の2割に当たる370万人の医療費窓口負担を1割から2割に引き上げる医療制度改悪関連法案を5月7日、衆院厚生労働委で、与党と維新などの賛成多数で強行可決した。

 窓口負担の2倍化は、高齢者の受診控えによる健康悪化を招く。厚労省が、医療給付費削減の影響額を負担増ランクの基準によって1790億円から590億円と見込んでいることからも明らかだ。

 政府はこの間、後期高齢者医療制度の国庫負担率を下げ、その分を現役世代の健保負担に切り替えてきた。国庫負担削減額は国会答弁では08年度から18年度で約5千億円。

 消費税増税を繰り返しながら、国の責任である負担を他の健康保険に転嫁。その上で「世代間対立」を煽って負担増につなげたことは許せない。院内外の運動を盛り上げ、参院ストップをかけよう。