今週の新社会

オリ・パラ中止
コロナに集中せよ 内外の声広がる

2021/05/25
オリンピックミュージアムから見た新国立競技場と
オリ・パラ中止コラージュ=東京都新宿区


 感染力と症状重篤率の高いイギリス型変異株など新型コロナ感染第4波が押し寄せる中、国内はもちろん海外からもオリ・パラ中止や再延期を求める声が大きくなっている。5月の世論調査では開催反対がNHK 49%、共同通信59・7%に上る。いますぐ中止を決定し、コロナ対策に集中すべきだ。

 すでに45自治体が東京五輪・パラリンピック出場の各国チームの事前合宿などの中止を決めた。このうち、米国陸上チームが取り止めた千葉県成田市など、32自治体は相手国側の申し出だ。

 政府が首都圏の各県にオリ・パラ専用のコロナ病床確保を要請したが、各県はそれどころではないと難色。高齢者へのワクチン接種も予約が始まったとたん大混乱を招き、安心どころか逆に不安をかきたて、優先接種問題なども不信を広げた。

 海外報道は菅政権ヘの忖度なく強行姿勢を批判するが、国内の大マスコミはオリ・パラのスポンサーで、正面から批判ができない。一方、国民は感染拡大と政権の無能ぶりを肌で感じている。

 「コロナ敗戦」と菅政権が揶揄されるのは当然だ。ワクチン開発や準備を怠り、カネで買えるという考えと、経済優先が世界に通用しなかった。

 丸投げされて準備が整わない中、菅首相が「7月中の高齢者ワクチン接種」を宣言、自治体に押しつけた。医療現場や自治体の疲弊は、政権維持のためのオリ・パラ開催強行から来ており、国民の命や健康は眼中にない。