今週の新社会

温暖化対策待ったなし COP26
脱石炭火力は急務 日本には義務と責任が

2021/11/24
 利益追求のみを目的とした持続不可能な経済システムが気候危機の原因と訴える
  =英・グラスゴーで=FoEサイトから


産業革命後の気温上昇を1・5℃以内に抑えるため、歴史的責任を持つ先進国がどのような役割を発揮するか問われたCOP26は、会期を1日延長して11月13日閉幕した。その成果と問題を追う。

  COP 26 (第26回国連気候変動枠組条約締結国会議)は、脱石炭政策を推進する英国のグラスゴーで10月31日始まった。 

  焦点の一つ、石炭火力発電問題は後退を重ね、当初の段階的廃止から段階的削減に。それも排出削減対策をしていない石炭火力が対象だ。最大の参加は化石燃料ロビイストといわれた通り、次世代につけを残した。 

  脱化石燃料に背を向ける日本政府は、経産省が30年までに古い石炭火力を更新すれば存続とし、新エネルギー基本計画でも30年時点で20%依存する。石炭火力への海外融資も例外を認めており、先進国として恥ずべき姿勢。温暖化対策に消極的と、国際NGO「気候行動ネットワーク」から前回同様、「化石賞」を贈られた。 

  炭素市場や技術力向上等による「ネットゼロ」などで、今後も二酸化炭素を排出し続けられる先進国に比べ、気候危機による最大の被害者となる途上国への気候資金など、損失と被害、対策への支援強化は欠かせない。 

  しかし、パリ協定で約束された20年までに先進国全体で途上国に年間一千億ドルの気候変動対策の支援が実行されていない。 

  各国の2030年目標(NDC)の引上げも不十分で、30年には10年比で排出が16%増加し、今世紀後半までに2・7℃の気温上昇が見込まれる。 

   気温上昇を1・5℃以内に抑え、気候危機対策を進めるには、化石燃料に依存する社会から一刻も早く脱却し、持続可能な経済・社会に転換しなくてはならず、日本は脱化石燃料の先べんをつける義務と責任がある。