今週の新社会

国民に背向ける
困窮無視 軍事優先

2022/01/12
=2022年度予算案の内訳

  岸田内閣が12月24日に閣議決定した22年度予算案は、国民の苦境に手を差し伸べる姿勢は微塵もない冷酷なものだ。立憲野党は1月17日に始まる第208通常国会の論戦で目指す社会像を明らかにし、参院選に向けて闘う姿勢を鮮明にしなくてはならない。

  昨年に続き最高額を更新する総額107兆5964億円の2022年度当初予算案は、社会保障費の自然増を2200億円圧縮する一方、軍事費を10年連続で引き上げ、最高額を更新した。軍事優先・生活無視の安倍・菅政治を引き継ぐ岸田・自公政権の性格が明確に表れている。 

  21年度補正予算と合わせた16カ月予算として編成され、軍事費の突出ぶりはGDP1%枠を平然と踏み破った。 

  岸田政権の武力で対峙する姿勢は、近隣諸国との緊張を高める一方でナショナリズムを煽る。市民と立憲野党の闘いで、危険な一線を越えることを許してはならない。 

  戦争ができる国への道は、国民管理も並行して進められる。4720億円の予算を付けた新設のデジタル庁を司令塔に、総務省は国民総背番号制度完成へ「マイナンバーカード」普及へ1027億円を用意した。 

  抵抗すればムチ・迎合すればアメの典型は沖縄振興費。前年度比11%減で10年ぶりに3000億円を割った。

  「復帰」50年の沖縄県を平然と差別する自公政権は許せない。米国に追従することで権力を維持する自公政権の姿は、憲法の理念とは、真逆だ。 

  格差是正と貧困対策が焦眉の課題のコロナ下で、富裕層の金融所得課税や法人税、大企業の優遇税制は手付かず。国の借金が1000兆円を超えているにもかかわらず、36兆9260億円もの新規国債を発行した。補正と合わせた16カ月予算では58兆9840億円となる。 

  自公政権は、巨額の国債発行を社会保障切捨てと消費税増税の口実としており、消費税は最大の税目となっている。 

  未来への責任に目をつぶり、その場しのぎで「やってる感」をふりまく政権政党。 

  国会内外の運動を高めてこのからくりを明らかにし、夏の参院選で政治を主権者の手に取り戻そう。