今週の新社会

戦争に向かう自民党
敵基地攻撃・軍事費2%
国家安全保障戦略改悪へ

2022/05/11
    日本の防衛戦略の楚とされる「国家安全保障戦略」が年内に改定されることになっている。自民党は、この改定に向けて提言を政府に出した。この提言は、あきらかに憲法を踏みにじり、外交や安全保障を軍事力で解決しようとする危険極まりないものだ。憲法審査会は、この動きと連動している。

5年で軍事費2%NATOに追いつく 

    自民党安全保障調査会(会長・小野寺五典元防衛相)は、4月21日に政府への提言をまとめた。これは、政府が年内に取りまとめる「国家安全保障戦略」に対する提言だ。   

    自民党はロシアのウクライナ侵攻や、中国の海洋進出を格好の口実として、一気に安全保障政策の抜本的改定を狙う。日本の安全保障政策は3つあり、国家安全保障戦略(NSS)、防衛計画の大綱(大綱)、中期防衛力整備計画(中期防)だが、既に防衛省も改定作業を進めている。  

    この改定に向け、自民党の各部会が、一斉に安全保障に関する「提言」を出し始めている。 

    4月21日に出た自民党安全保障調査会の提言は、従来の「敵基地攻撃能力」の名称を改め、「反撃能力」に変えた。かつて、「武器輸出3原則」を「防衛装備移転」とした詭弁を再び使った。「反撃」の対象は、ミサイル基地に限定せず「相手国の指揮統制機能なども含む」とした。 

    防衛費(軍事費)に関しては、北大西洋条約機構(NATO)が、国内総生産(GDP)比2%以上とする国防費に足並みを揃え、「5年以内に防衛力を抜本的に強化する」とし、これを5年間で2%とした。 安倍晋三元首相は4月3日、遊説先で防衛費を「2023年度は当初予算で6兆円程度を確保すべき」と後押しをした。

    宇宙戦争予算年2000億 

    自民党の安全保障関係の提言はこれだけではない。自民党政務調査会宇宙・海洋開発特別委員会も4月5日に提言をまとめている。 

    提言は宇宙領域を防衛戦略の大きな柱とした。現在の国際環境の厳しさを指摘しながら、「国家宇宙安全保障戦略の早急な策定」、「宇宙作戦総隊の創設」など、安全保障強化のための整備と予算を「2000億円以上の大幅な拡充」を求めている。また、「敵のミサイル基地策源地の攻撃能力の保有とそのための情報収集と監視」など、日本のミサイル攻撃能力を高める宇宙戦略を様々な角度で提言している。 

     これまで「国家秘密保護法」や「戦争法」など、数々の戦争関連法が制定が強行されてきた。今回の安全保障戦略改定にともなう自民党の提言は、いよいよ日本が改憲と一体で戦争国家に突き進む姿が露わになった。

敵をつくらない9条外交を 

     自民党の提言は日本国憲法を真っ向から否定する。 

     ロシアのウクライナ侵攻では、経済は一国では自立せず、他国との相関関係にあり、また、「武力で平和は守れない」ことが明らかになった。 

     日本の安全保障政策の基本は、憲法前文と9条にある。 日本は政治、経済、文化など、各国との交流を通じて友好を深め、敵国をつくらないことが真の安全保障だ。