今週の新社会

賃金上がらず物価高騰
消費税今すぐ下げよ 食料自給こそ安全保障

2022/07/13
神戸市内の商店街で物価高騰問題を訴えるおかざき彩子さん

  物価高騰が止まらない。政府はウクライナ戦争のせいにするが、膨大な国債の利払い費抑制のため「利上げ」できず、円は急落。輸入に頼る日本は原材料やエネルギー、食料の高騰が続く。政府の無策を追及しなくてはならない。

  「1ドル200円」もありうるという声も聞く。歯止めのない円安は庶民の暮らしを直撃する。25年続く賃金水準下落の中で、暮らしの救い主だった「百円ショップ」の経営は虫の息状態に追い込まれている。 

  低所得者ほど高くなる家計に占める食糧費の割合、エンゲル係数は28%台と高止まり。年金が下がり、今年の賃上げ2・11%では定期昇給分すらカバーできない。4月の実質賃金はマイナス1・2%。 

  強い円で、金さえ出せばエネルギーも食料も買える時代は終わった。政府が管理し、引き渡し価格が年2回改定される小麦価格について、政府も抑制方針を打ち出さざるを得なくなった。 

  小麦高騰はウクライナ戦争が大きな要因となったことは間違いない。しかし、世界の人口増や経済発展が著しい中国などの大量の食糧輸入が食料価格高騰の基調となっている。 政府に問われているのは食料自給率の向上策だ。カロリーベースで自給率37 %は世界的に見ても異常だ。 

  農水省データによると、日本の穀物自給率は28%( 2 0 1 8 年度)。これは172の国・地域で128番目、ОECD(経済協力開発機構)加盟38カ国中、32番目だ。 野菜は76%の自給率と高く見えても、種子はほとんど輸入に頼っている。 

  「農業は過保護」と刷り込まれ、食料自給に必要な政策は後退するばかり。そして現在、農家の疲弊を加速するのは原料を輸入に頼る肥料の値上がりだ。逆に農産物はセリで決まり、生産費回収の保証はない。 

  資源に乏しい日本にもかかわらず、中ロを敵視すれば必要な物資の輸入が途絶える。アメリカと組んで戦争路線を強めれば、その反動による直撃を受けるのは庶民生活。だからこそ善隣友好外交、平和外交しかない。 

  物価高騰対策には消費税減税・廃止がもっとも効果的だ。廃止すれば、食料品は8%の引下げとなる。世界では消費税(付加価値税)を引き下げて対応しようとしている。参議院選挙でも足並みがそろわない野党間にあって、消費税引き下げだけは一致した。 

  しかし、自民党は動かない。公明党も追随する。自民党の茂木敏充幹事長にいたっては、NHKの「日曜討論」で消費税を下げたら年金財源は3割カットと脅した。しかし、消費税収の7割は大企業の法人税引き下げに使われた。自民党の大企業の組織票と、企業献金のお返しになっている消費税は、庶民の不幸を招く。