今週の新社会

マイナカード強制は違法
「カード取得」は任意
保険証を〝合体〟許されない

2022/10/26
 岸田政権の"保険証廃止”方針に抗議、「持たなくても大丈夫の声を広げよう」と訴えた集会

  河野太郎デジタル担当相は10月13日、岸田文雄首相と面談後に記者会見し、紙やプラスチックの健康保険証を24年秋に廃止、マイナンバーカードに一体化すると発表した。これに対し、同日夕には市民が首相官邸前で「マイナカード強制は違法! 許されない!」と抗議集会を開いた。

  マイナンバーカードに関する法律は、カード取得は本人の申請であり、あくまで任意。政府の都合で法を踏み破る岸田政権は、「安倍国葬」の強行に続き無法そのもので、“政治災害内閣”と断じざるを得ない。 

  1人当たり最大2万円分を付与する本年度のマイナポイント事業予算は1兆4000億円。これを「邪道」と批判した河野氏は、今度は違法な“突破力”を発揮した。 

  マイナカードは16年1月に交付が始まった。保険証に使えるようにしたのは昨年10月だ。しかし、自公政治に対する強い不信感とメリットのなさから取得率は伸びず、地方交付税を人質にとる自治体への普及促進強制、2度にわたるマイナポイント付与でも交付率は10月初旬で49・6%(申請率は56・2%)に過ぎない。 

  莫大な予算を注ぎ込んでまでカード普及を図るのは、銀行口座の紐づけによって税賦ふ課かの拡大を図り、医療費や介護負担などに金融資産を反映させ、利用者負担を増やそうという魂胆があるからだ。 

  その意図は今回のマイナポイント事業で、公金受取口座を登録することによって7500円分が加算されることにも表れており、口座紐づけ強制の意図が透けている。さらに国家による個人情報の一元管理や、「ビッグデータ」の利活用という企業への利益・便宜供与の目論みがあることも忘れてはならない。 

  カード利用者にとっても、情報が一枚のカードに集約されるほど紛失した場合の危険性は大きくなる。行政の管理能力欠如も不安の一因だ。一方、医療機関や薬局のカード保険証対応は進まない。コロナ禍で経営が悪化し、設備設置や維持に費用がかかるので、従来の保険証で十分というのが現場感覚だ。 

  全国保険医団体連合会は10月14日、「保険証で安心して受診できる国民皆保険制度を守るべき」と、河野会見に対する抗議声明を出した。

  平井卓也元デジタル相は昨年の通常国会で、「多様な幸せの実現ということですから、マイナンバーカードをはじめデジタルを全く活用しない生活様式を否定しているものではありません」と答弁している。 

  岸田政権・河野デジタル相が打ち出したマイナンバーカードの強制は、「多様な幸福の実現」を否定し、権力による画一な管理社会に道を開くものだ。

「持たなくても大丈夫」

  河野太郎デジタル担当相が「健康保険証廃止・マイナカード強制」を打ち出した10月13日夕、首相官邸前では市民50人が緊急集会を開いて抗議、「マイナカードを持たないものはもう生活できない、そうした世の中を作るに等しい」と怒りの声を上げた。

  緊急集会では、「共通番号いらないネット」のメンバーや医師、保険医協会関係者らが発言、「マイナカードは申請に基づいて発行されるもの。あくまでも任意だ。嫌な人は持たなくてもいいという法律になっている」、「国民皆保険制度の下で、強制があってはならない。持たなくても大丈夫だという声を幅広く広げ、強制させない取組みをしていかなくてはならない」などの声が相次いだ。