今週の新社会

福島 忘れたか!
危険な原発回帰
反対闘争は正念場

2022/12/21
危険な老朽原発!今すぐ止めろ!電気は足りている!などと訴えて大阪市内をデモ行進=12月4日

   敵基地攻撃能力保有を閣議決定して専守防衛を捨て、原発の最大限活用で福島原発事故がなかったかのように、岸田・自公政権は「基本政策」を180度転換しようしている。国民的な議論があるべき重大問題だが、臨時国会でも議論の焦点になってはいなかった。原発を巡る政府の大転換を検証する。

      政府が昨年10月に決定した「エネルギー基本計画」は、「可能な限り原発依存度を低減する」としていた。

  ところが、岸田文雄首相は8月24日、次世代型原発の開発・建設、運転期間の60年超への延長、新規制基準に合格して再稼働した10基に加えて7基を来夏以降、早期に稼働させる方針を突然打ち出した。

  首相は7基の再稼働に向け、「国が前面に立ってあらゆる対応を取っていく」と表明したが、法令違反など度重なる不祥事で運転を禁止されている東電柏崎刈羽原発や、水戸地裁判決で運転が指し止められた東海第二原発も含む無謀さだ。

  運転期間延長では関西電力が6月、稼働40年を超える原発としては初めて美浜3号機を再稼働させた。2030年代には「原則40年、最長60年」と規定された法律の上限に達する原発が次々に出てくる。そのため、審査などで停止した期間を運転年数から除外して60年を超える運転を可能にする方向だ。

  エネルギー庁は、運転期間の延長に向け10月の原子力規制委員会で原子炉規制法の改定の考えを表明、来年の通常国会に改定案が出てくることが想定される。岸田政権のなし崩し的原発回帰を止めなくては、第二、第三の福島事故を招きかねない。反原発運動は正念場を迎えている。

  900人が関電を包囲 

  1976年12月1日の運転開始から46年を超えた関西電力美浜原発3号機(福井県美浜町)の運転を止めようと12月4日、「関電包囲全国集会」が大阪・中之島で開かれ、900人が参加した。

  集会は「老朽原発うごかすな!超危険な美浜3号、もう廃炉!」を掲げて実行委が主催、関電本店包囲の後はうつぼ公園(大阪市西区)に移動して御堂筋デモを行い、「老朽原発廃炉!」を訴えた 美浜3号機については昨年6月、福井県など3府県の住民9名が「運転差し止め仮処分」を大阪地裁に申し立てているが、決定は遅れに遅れている。

  実行委の中嶌哲てつえん演さんは集会で、「岸田政権は原発の新増設やリプレイスで福島原発事故をなかったことにしようとしている。こんなことは許されない」と怒りの挨拶。

  「仮処分」原告弁護団の井戸謙一団長は、「裁判所は12月2日に『12日から20日に決定を出す』という前例のない対応をしてきた」と報告。禁止か容認かどちらの決定でも集会を開くと述べた。

  続いて、美浜、高浜、東海第二、川内など各原発現地での闘いの報告、次いで関西各地の活動報告があった。