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今週の新社会
廃棄になった「入管法」再び
人権無視さらに
入管行政の抜本改善こそ
2023/03/01
ウイシュマさんの写真を掲げて訴える
多くの市民の反対によって2021年に廃案となった出入国管理・難民認定法改悪案が、骨格を維持したまま今国会に再提出される。同年3月、名古屋入国管理局に収容されていたスリランカ人女性ウィシュマさんが体調不良を訴え続けたにもかかわらず、適切な治療を施されないまま亡くなるなど、日本の入管行政の人権無視が国際的にも問題になっている。入管行政の抜本的改善こそ必要だ。
無期限の入管収容
外国人が日本に入国するには、「在留資格」を取得しなければならない。多くの在留資格があるが、入国が認められれば、資格条件に沿って活動できる。在留者は常時「在留カード」を携帯し、警察官などの職務質問の際には提示しなければならないとされる。
在留期限を過ぎれば「不法滞在」となる。地方出入国在留管理庁は、「不法滞在者」を入管と警察の摘発捜査などで逮捕し、身柄は入国管理局の施設に収容する。収容期限は定めがない上に、人権軽視が横行する。
2019年、長崎県の大村入国管理センターで40代のナイジェリア人男性が抗議のハンガーストライキをし、餓死している。
実習生失踪が多発
日本は1993年、国際貢献の名で「外国人技能実習制度」を導入したが、労働力不足を補うためでもあった。
技能実習生は、2020年時点で、全在留資格者の13・1%(第2位)を占めた。技能実習生は、85職種(156作業)で最長5年間働ける。実習生の受入先は国が許可した管理団体や企業。
技能実習生にも当然労基法等は適用されるが、労働現場では実習生への暴行や脅迫、セクハラ、旅券や在留カードの取り上げなどが多発。人権侵害によって実習生が「失踪」すると、たちまち「不法滞在者」となるのだ。
技能実習計画は認定制で、監督機関「外国人技能実習機構」がある。機構の改善命令に従わなければ、管理団体などは許可が取り消される。
2018年〜22年上半期の失踪者数は2万9401人、受入れ管理団体の解散命令40件、実習実施者認定取消し4724件と驚くべき数字だ。
“難民鎖国”の日本
「不法滞在者」には「難民」もいるが、「難民認定」申請をしても自らが難民であることを立証しなければならず、高いハードルとなっている。
日本は1981年に「難民の地位に関する条約」(難民条約)、82年に「難民の地位に関する議定書」に加入。難民認定申請が出れば審査し、認められれば原則として定住者の在留資格が与えられる。しかし、認定率は極めて低い。
2021年の難民申請は2413人、認定はわずか65人(申請の約2・7%)。21年に審査請求(不服申立て) して認定されたのは9件と、諸外国に比べ異常に低い。
人権規約厳守こそ
今回の入管法改定案は問題が多い。労働力不足を大量の外国人労働者で補っている一方で移民を認めず、難民認定は厳格化、国際基準は無きに等しい。
その上で、不法滞在者は「全件収容主義」のまま、新たに3カ月ごとの収容認定を加え、個別事情の勘案、裁判所等の関与もなく、入管の「サジ加減」にさらされる。さらに難民認定申請を2回までとし、強制送還を可能としたままだ。
入管法改悪に反対する団体や仮放免中の外国人らは1月25日、東京都内で「改正案は、迫害される可能性がある難民申請者の強制送還を可能にしてしまう」などと訴え、廃案にするよう求めた。
国際人権規約の厳守、裁判所など第三者機関による審査導入、難民認定法など抜本的見直しこそ必要だ。
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多くの市民の反対によって2021年に廃案となった出入国管理・難民認定法改悪案が、骨格を維持したまま今国会に再提出される。同年3月、名古屋入国管理局に収容されていたスリランカ人女性ウィシュマさんが体調不良を訴え続けたにもかかわらず、適切な治療を施されないまま亡くなるなど、日本の入管行政の人権無視が国際的にも問題になっている。入管行政の抜本的改善こそ必要だ。
無期限の入管収容
外国人が日本に入国するには、「在留資格」を取得しなければならない。多くの在留資格があるが、入国が認められれば、資格条件に沿って活動できる。在留者は常時「在留カード」を携帯し、警察官などの職務質問の際には提示しなければならないとされる。
在留期限を過ぎれば「不法滞在」となる。地方出入国在留管理庁は、「不法滞在者」を入管と警察の摘発捜査などで逮捕し、身柄は入国管理局の施設に収容する。収容期限は定めがない上に、人権軽視が横行する。
2019年、長崎県の大村入国管理センターで40代のナイジェリア人男性が抗議のハンガーストライキをし、餓死している。
実習生失踪が多発
日本は1993年、国際貢献の名で「外国人技能実習制度」を導入したが、労働力不足を補うためでもあった。
技能実習生は、2020年時点で、全在留資格者の13・1%(第2位)を占めた。技能実習生は、85職種(156作業)で最長5年間働ける。実習生の受入先は国が許可した管理団体や企業。
技能実習生にも当然労基法等は適用されるが、労働現場では実習生への暴行や脅迫、セクハラ、旅券や在留カードの取り上げなどが多発。人権侵害によって実習生が「失踪」すると、たちまち「不法滞在者」となるのだ。
技能実習計画は認定制で、監督機関「外国人技能実習機構」がある。機構の改善命令に従わなければ、管理団体などは許可が取り消される。
2018年〜22年上半期の失踪者数は2万9401人、受入れ管理団体の解散命令40件、実習実施者認定取消し4724件と驚くべき数字だ。
“難民鎖国”の日本
「不法滞在者」には「難民」もいるが、「難民認定」申請をしても自らが難民であることを立証しなければならず、高いハードルとなっている。
日本は1981年に「難民の地位に関する条約」(難民条約)、82年に「難民の地位に関する議定書」に加入。難民認定申請が出れば審査し、認められれば原則として定住者の在留資格が与えられる。しかし、認定率は極めて低い。
2021年の難民申請は2413人、認定はわずか65人(申請の約2・7%)。21年に審査請求(不服申立て) して認定されたのは9件と、諸外国に比べ異常に低い。
人権規約厳守こそ
今回の入管法改定案は問題が多い。労働力不足を大量の外国人労働者で補っている一方で移民を認めず、難民認定は厳格化、国際基準は無きに等しい。
その上で、不法滞在者は「全件収容主義」のまま、新たに3カ月ごとの収容認定を加え、個別事情の勘案、裁判所等の関与もなく、入管の「サジ加減」にさらされる。さらに難民認定申請を2回までとし、強制送還を可能としたままだ。
入管法改悪に反対する団体や仮放免中の外国人らは1月25日、東京都内で「改正案は、迫害される可能性がある難民申請者の強制送還を可能にしてしまう」などと訴え、廃案にするよう求めた。
国際人権規約の厳守、裁判所など第三者機関による審査導入、難民認定法など抜本的見直しこそ必要だ。