イチオシ

8時間働けば生活できる賃金を 
低すぎる日本の最賃

2020/09/01
最低賃金全国平均 僅か1円増

 厚生労働省は8月21日、20年度の都道府県ごとの最低賃金(最賃)について、全国の改定額を公表した。40県が1〜3円引き上げ、東京など7都道府県は据え置いた。
人口を加味した全国加重平均は現在の901円から、僅か1円増の902円となった。安倍首相が財界の要望に応え最賃抑制の考えを示し、中央最賃審議会が目安を示せなくなったことに原因がある。

 最賃据え置きとなった東京地方最賃審議会で労働側委員は、「最賃が上がれば雇用が失われるという主張の根拠は示されていない。プラスの経済指標もある。明確なデータを示さず、ただ雇用が厳しいという使用者側の主張だけを見た結論だ」と答申を批判し、労働側委員3人全員が「公益委員会の抗議文を読み上げ退席する異例の展開となった」(『連合通信』8月11日)。

 最賃の全国加重平均の902円で週40時間働いたとしても、年収は約190万円にしかならない。しかも、日本の最賃は先進各国と比べても低い水準にあり、労働者の生活実態に合っていない(表参照)。

 労働組合などの「最低生計費調査」によると、大都市や地方都市でも時給額は1500円程度が必要であることが明らかになっている。全国一律に最賃の大幅引き上げを実現するには、内部留保が増え続ける大企業の法人税率の見直し(図参照)と、中小企業へ税金を投入して支援することが重要だ。