鎌田 慧 連載コラム
「沈思実行」

弱体政権と強権 第40回

2021/02/02
 菅内閣の支持率はついに33%まで急落、遅くとも秋の総裁選までの命運のようだ。緊急事態宣言の実施期間は2月7日。「一日も早く終息させます」と、1月18日の「施政方針演説」で、力説したが、根拠はゼロ。

 「夏の東京オリンピック・パラリンピックは、人類が新型コロナウイルスに打ち勝った証として、また、東日本大震災からの復興を世界に発信する機会としたいと思います」。

 官僚が書いた作文にしても説得性がない。2月ではコロナ禍は収束せず、頼みの綱のオリンピックが思惑通りにひらかれる可能性は低い。となると無能さだけがクローズアップされ、秋の選挙を戦えない。本人には不本意だろうが、短期政権となりそうだ。

 安倍晋三のウソだらけ政権を、7年8カ月も支えた「戦争責任」について、「私の答弁の中に、事実と異なるものがあったことについて、大変申し訳なく、改めてお詫び申し上げます」と謝ってみせたが、それをそっくり居抜きで「継承」したこと自体が、菅弱体政権の本質なのだ。

 すでに全国で、休廃業・解散した企業は、昨年の東京商工リサーチ調べで、前年比14 .6%増の4万9698件となった。サービス業がその内の18%を占める。非正規、アルバイターが多い業界だから、労働者への打撃が大きい。

 ところが、安倍継承、「冷酷非情菅政治」は、コロナ関連法案の改定案として、政府方針に反する商店や感染者は、罰金や強制収容、懲役までの罰則規定が準備されている。

 緊急事態や非常事態の時に、個人の人権を制限する国家の強権が発令されたりする。

 しかし、日本国憲法は、個人の尊厳と基本的人権を高らかに掲げている。

 救済の政策と予算措置をサボり、強権を獲得しようとする、火事場泥棒もまた、重大な戦犯である。