鎌田 慧 連載コラム
「沈思実行」

ゴリ押し「国葬」の陰で  第115回

2022/09/14
  大企業の内部留保が510兆5千億円。史上最高。経常利益も最高の決算内容だ。しかし、かたや食品値上がりによって、三度のご飯を食べられない生活苦がふえている。 

  この極端な格差は当面解決されようもない。なぜなら、庶民の生活など考えたこともない、三代目たちが政権を握っているからだ。 
  
  今回、岸信介、安倍晋太郎、安倍晋三、さらには岸信夫。この右派政治家一家と深く繋がる、統一教会の闇があきらかになった。 

  それでも「国葬」。選挙民に挑戦的な、血税をドブに捨てる「国葬」は、安倍元首相の支持者たちを集めた新宿御苑の「サクラ」どころではない。安倍派のウケを狙うだけの党内迎合政治、忖度、虚礼。腐臭を放つ内閣といえる。 

  国葬、勝共連合、統一教会、選挙で票をもらうためにカルト集団に依存し、安倍一家は広告塔に利用されていた。その陰で詐欺的商法に遭って家庭崩壊。累々たる被害者がいるにもかかわらず「名誉」を讃えてなんと国葬。海外からエライ政治家を集めて、人気を挽回しようとするのも統一教会流というべきか。 

  文鮮明教祖による反共団体は、すでに韓国ソウルで安倍晋三氏の大写真を掲げた追悼式をおこなった。「国葬」前段の、統一教会葬。国葬はその延長線上にある。構造的腐朽の自民党が、閣議だけで決定した「国葬」。党内には批判する良心は存在しないのか。 

  あたかも「国葬」を目くらましにするかのように、防衛省は防衛費を過去最大の5兆6千億円を要求、さらに金額を明示しない「事項要求」によって、6兆円台に踏みこむ魂胆。安倍政権時代の野望、5年後に12兆円以上をめざしている。 なかでも危険なのは、12式地対艦誘導弾の能力アップ。いままでの十倍の飛翔能力をもつミサイルを量産する計画だ。 

  これで、中国や北朝鮮への攻撃も可能になる。さらにF15に搭載する米製JASSMミサイルも購入、敵基地攻撃能力を高める。これらによって、安倍を継ぐ強硬な、戦争準備体制に突入する。岸田番頭内閣。安倍派への迎合もっぱら。亡国の政治だ。