鎌田 慧 連載コラム
「沈思実行」

岸田悪政の責任は重い  第120回

2022/10/19
  前回、この欄で「亡国の悪ガキ三代目」として、安倍、麻生、福田など、首相の孫や息子たちがまたぞろ首相を継ぐ、まるで封建制下の政治体制を批判した。中曽根、小泉、岸田など、自民党三代目たちの家業が繁栄している、と書いた。

  「売家あり唐様で書く三代目」。遊興で斜陽になった三代目の家業を揶揄した古川柳だが、家業政治家の繁栄の陰で、いまや国を蕩とう尽じん、破滅させる不安がでてきた。 

  アベノミクスの大企業優先政策や米国製戦闘機の爆買い、さらにはアベノマスクのムダガネ、ひとのいのちや健康に投資すべき国税が、惜しげもなく費消され被害は大きい。 

  そして、さらに岸田首相の国葬強行(いつのまにか、「国葬儀」であって、「国葬」ではないなどと言い抜けようとしている)。国税の多額の無駄遣いに終った。 

  ところが、その失敗があきらかになった直後、こんどは恥もなく、31歳の息子を、事務所の秘書から首相直属の特別職、高給を食む、国家公務員としての「首相秘書官」に格上げした。四代目製造の準備か。 墜落寸前の低空飛行でありながら、まったく無頓着の強心臓というべきだが、ほかに気心知れる味方がいなくなった、ということなのか。三代目の判断基準はよくわからない。 

  「国が前面にたって、あらゆる対応をとる」「既設原発の最大限活用」などと、ときならぬ原発全面依存の戦闘命令。さらに「原則40年」も取り払うという。岸田首相、力んでひょこひょこ、孤独な独裁者・プーチンの歩き方に似てきた。自民党にも代わるべき人間がいないようだ。 

  13兆3 2 1 0 億円。それが東京電力の元経営幹部に命じられた、賠償命令だ。「国そのものの崩壊につながりかねない」との最大限の危機感による判決は、この東京地裁判決や伊方判決などにも共通している。 

  原発事故の責任は電力会社ばかりか、根本的には「核の商業利用」をあらゆる手段で推進してきた、自民党政権にある。岸田首相、その責任を取る決意はあるのか。