今週の新社会

権力の支配が狙い
学術会議法 〝改悪〟成立

2025/06/25
学術会議解体法案を成立させるな!
と声を上げる学者や市民ら=6月10日、東京・永田町の国会議員会館前


 戦争国家へ独立奪う
民主主義と学問の自由
守るために廃止を

    
戦争国家づくりのために日本学術会議を権力の支配下に置く「学術会議解体法」が6月11日の参院本会議で自・公、維新などの賛成多数で可決、成立した。立憲、国民、共産、れいわ、社民などは反対した。菅政権による会員候補6名の任命拒否を正当化し、学問の自由や民主主義を踏みにじり、平和国家の土台を破壊する悪法の廃止が課題となった。

   「わが国の平和的復興、人類社会の福祉に貢献し」などとする学術会議法前文を全文削除した改定法は、政権に物言う組織は許さないとする姿勢が露骨であり、「法人化」によって変質を目論む。 

      戦争国家へと突き進む政治に学問を従属させようという政府・与党の強硬さに、「学者だけの問題」ではないと、市民運動が一体となって「廃案一択」の反対運動が広がり、議員会館前では連日座込みや集会が行われた。 

       参院内閣委で法案採決が強行された6月10日の座込み集会で、前川喜平元文科省事務次官は「学術の終わりの始まり」「民主主義の終わりの始まり、戦争への道の始まり」と厳しい口調で指弾した。 

       改定法の本質は、5月9日の衆院内閣委での坂井学内閣府担当相の答弁、「特定のイデオロギーや党派的主張を繰り返す会員は、今度の法案で解任できる」に鮮明だ。思想信条で会員を選別し、学術会議を統制する権力の意思を明確にした。 

       学術会議の独立性を奪う幾重もの仕組みを盛り込む法案に、立憲民主党が独立性を担保するために提出した修正案は与党などの反対で否決された。 

      また、マスメディアは政府寄りの姿勢で、NHKなどは政府の言う「国から独立した法人にする」と伝えた。さらに、関心を逸らすメディアの報道も相変わらずで、「小泉劇場」による備蓄米放出問題を垂れ流し続けた。 

        学問の自由・民主主義の「終わりの始まり」を許してはならず、「終わりの始まり」を止めるには目前に迫った参院選で、自公などを少数にすることだ。