週刊新社会バックナンバー

本格的武器輸出への突破口
「同志国軍支援」制度を新設

2023/05/03
  岸田内閣は4月5日、「同志国の安全保障能力強化」のため、資機材の供与やインフラ整備等、軍などに無償資金協力を行う「政府安全保障能力強化支援」制度(OSA)の導入を決めた。

  OSAの実施は、「防衛装備移転三原則と運用指針の枠内で、相手国の民主化、法の支配、人権状況等を総合的に判断」し、「資機材やインフラの国連憲章…に適合した使用と目的外使用や第三者移転の管理を義務化」などというが、軍事援助に変わりはない。 

多くの制度を結合 

  このOSAは、昨年12月の国家安全保障戦略で「同志国の安保能力・抑止力を向上」とされ、防衛力整備計画では「自衛隊の装備の同志国への移転」や「インド太平洋地域の各国軍等の能力構築」、「防衛装備の販路拡大による防衛産業の成長性確保」などとしたものの具体化。 
  また、今国会提出の「防衛装備開発・生産基盤強化法案」での軍需企業への財政支援や武器輸出の推進、「防衛力強化財源確保法案」で創設の「防衛力強化資金」にも直結する。 政府はOSAと研究開発、インフラ整備、サイバー安保の四分野に、27年度に計1兆円、OSAも今年度は20億円だが数百億円規模に拡充方向とも。 

  最初のOSAはフィリピン、マレーシア、バングラデシュ、フィジーの軍などに警戒監視レーダーや無線システム、衛星通信、ドローン、警備艇などを想定している。 

三原則もODAも 

  一方、現時点ではOSAは殺傷能力ある武器の輸出は想定していない現防衛装備移転三原則の「枠内」とされたが、すでに政府は三原則を変え、殺傷能力を持つ武器輸出と、侵略や武力で威嚇を受けている国を対象にすることも検討中という。与党も近く三原則の見直しに入る方向で、三原則が変わればOSAの枠組みも拡がる仕組みだ。 

  また、政府はOSAとODAを両輪に同志国ネットワークの拡充を図る方針という。 

  現O D A 大綱では、「非軍事」や「人間の安全保障」が基本で、軍事的用途や国際紛争の助長は回避の方針だが、作業中のODA大綱改定案では「海洋安保に資する取組」や「同志国との連携」が登場し、「平和と安定に資する法執行機関への支援は個別に検討」と、政府の恣意的判断が可能に。 

  OSAは9条も専守防衛も無視。軍拡を外に拡げ、中国包囲と途上国への恩着せと軍需企業支援と武器輸出を税金でという危険な愚挙だ

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2022/03/23
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