道しるべ

暗たんたる世に展望は

2025/12/24
2025年を振り返る 

  私たち新社会党は結党以来、平和憲法の実現をめざし努力してきたが、いちばん危惧した事態がこの1年間で表面化した。この事態は何を意味し、展望はどこにつくりだされているのだろうか。

  熱した水が沸点で水蒸気に転化するように、歴史にも質的な転換点がある。 今年は戦後を画する転換が表面化した。参院選で自民党より右の「野党」が急伸し自民党(保守本流)が「右」と連立するというのは、戦後政治史上初めてだ。 

限度を超えた劣化 

  社会党・総評解体以降30年の決算でもある。2015年の安保法制から戦争準備が動き出し、22年「安保三文書」以降は「安保」関連法案への対応は場合によっては、立憲民主党も含め「翼賛」状態となった。この政治的劣化が一定限度を超え有権者に作用し、参院選の結果をもたらした。 

  高市発言に中国が猛反発したのも、中国への「抑止」論に立つ軍拡が一定限度を超えたことの証である。発言「撤回」は、中国への「抑止力」を弱めることになるので今更できない。そして、「防衛費GDP比2%」は前倒し達成され、「3・5%」にむかう。 

  高市政権が打ち出した「総合経済対策」の三本柱のひとつは「防衛力・外交力強化」であり、軍事産業の戦略的育成が始まり、武器輸出の野放図解禁が目前だ。 

  スパイ防止法、日本版CIA設置など国民監視・統合体制を政権は打ち上げてはばからない。 

  安保・外交に比べ税や社会保障分野では、質的な転換は見えにくい。しかしここ数年間、野党は部分的要求で分断され、所得再分配など大局的な観点は国会で希薄となった。 

  そして、「現役世代」と「高齢者」の対立や、外国人「優遇」への反発が煽られ、参政党が急伸する異様な世相となった。高市政権の医療制度改悪に、高齢者・病弱者切り捨ての意図が透ける。 

期待に応える共同 

  参院選で私たちは社民党・新社会党・市民共同を担い、社民党の政党要件を辛うじて維持し、共産党は後退した。しかし、多くの人々が世の異変に危機感を抱き、非戦・非武装を掲げる政治勢力の結束に期待していることも実感できた。 

  社民党、共産党などの連携の機運も生まれた。内閣支持率は高く、「嫌けんちゅう中」世論は高まっており、大きな前進は望むべくもない。しかし、心ある人々の期待に応える共同こそが展望である。予想される解散総選挙は、9条改憲をめぐる前哨戦となろう。