鎌田 慧 連載コラム
「沈思実行」

格差拡大と分断支配の政策 第276回

2026/02/18
  「アンダークラス」という言葉が、普及しそうだ。労働者階級の中での「下層労働者」というべき人を指している。かつては未組織労働者と言われたりしたが、今や組織労働者は3割程度。労働組合がないのが当たり前の状態になっている。賃上げ闘争などできない人たちが多数だ。 

  アンダークラス、下層労働者といえば差別的になるが、かつては「ニコヨン」(日給240円)、「日雇い」と呼ばれていた。あるいは、「人夫出し」とか「人夫供給業」と言われ、暴力団の資金源になっていたりしたが、「労働者派遣法」という名で、法律化されて、合法的なハケンにされてしまった。 

  1985年制定当初は、通訳など専門的な仕事に限定的に認められていたが、1996年から工場労働にも認められ、堰せきを切ったように非正規労働者が増大の一途をたどった。 

  日本はかつての一刻、「一億総中流」と言われ、皆、中間階級化していたと夢見ていた。が、バブルが崩壊してみると、鉄鋼、造船、電機などの輸出産業は海外展開していて、ここにはなく、安価な逆輸入になっていた。トランプが目覚めた、アメリカの現実の二番煎じでもあった。 

  いま「アンダークラス」は890万人、労働者の13・9パーセントを占める。年収216万以下で、未婚率74・5%とされている。正規労働者は1753万人。27・4%。年収486万以下である。 

  しかし、アンダークラスの年収は、正規労働者の4割程度。その上が新中間層の2051万人、32・1パーセントを占める。格差拡大と階層分化が進んで、たがいの関係が疎遠になってしまう。 

  80年代後半に正社員から外れた人たちの年金問題がこれから深刻になる。低年金や未年金の「貧困高齢者が急増する」と警告するのは、「アンダークラス」命名者の橋本健二早大教授である。

  労働時間の短縮によって、非正規労働者の正規化を図って救済させる。労働者の分断と支配が長年にわたる自民党支配の政策だった。たがいに思いやる共感と連帯。それで社会を変えよう。