今週の新社会

衣の下に鎧よろいが出ている
岸田首相の国会演説

2022/02/02
国会開会日の国会前集会に駆けつけた立憲野党の国会議員
(1月17日)


新たな原発開発
敵基地攻撃能力に踏み込む


    第208通常国会が1月17日から150日の会期で開かれている。今国会での論点、争点、問題点を整理する。

    国会開会日、岸田文雄首相の施政方針演説と外務、財務、経済の各担当3大臣演説が行われた。 

    この中で岸田首相は「聞く力」を再びアピールするとともに、「新型コロナに打ち勝つ」「新たな資本主義」と「成長と分配」を強調した。

  岸田首相の演説は、安倍、菅政権の違いを強調したものの、基本的な政治姿勢は変わらない。「分配」では最低賃金も「全国加重平均1000円以上」とし労働者の期待とはほど遠い。 

   もちろん、自民党の党是である「改憲」議論の促進は抜け目なく触れた。「憲法の在り方は国民」が決めるとしながら、国会での積極的な議論の期待を表明した。 

   その上、気候変動、外交・安全保障問題では一歩踏み込んだ。

外交・安全保障は安倍・菅政権を継承

   気候変動問題への対応では、「革新原子力」や「核融合電源」の開発などで、「2050年カーボンニュートラル」を実現すると言明した。政府の「クリーンエネルギー」戦略の中に再度原発を位置付けた。 

   また、外交・安保問題では、日米豪の軍事同盟による抑止力を強調し、「敵基地攻撃保有力」を前提とした国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画の策定を言明した。中国、韓国、朝鮮などの近隣諸国との関係に「聞く力」はなく、対決姿勢は変わらない。まさに「衣の下に鎧が出ている」政治姿勢だ。 

   沖縄問題では普天間基地の辺野古への移設を述べ新基地建設の手は緩めない。当然のようにコロナ感染の元凶である「日米地位協定」には触れなかった。 

   通常国会では参議院選挙の争点をずらすため、重要な対決法案抜きの58件の法案が準備されている。だが海上保安庁と自衛隊の島嶼防衛の強化のための法案などの問題法案も含まれている。

立憲野党の共闘を国会内外で強めよう

   一方、野党はどのように岸田政権と対決するのか。衆参両院の代表質問から、すでに予算員会を含め各委員会が開かれている。 

   野党は先の衆議院選挙の結果、足並みは大きく乱れている。その一つに、改憲と原発容認で一致した日本維新の会と国民民主がある。立憲民主党は新たに選ばれた泉健太氏がいる。泉代表は「政権が交代しようとも現実的な外交・安全保障政策を維持・推進する」と党内選挙で公約した。とは言え、今後の審議の中で原発、憲法、防衛・外交問題では、岸田政権と本質的な対決を期待したい。 

   そのために、共産党やれいわ新選組、社民党など、立憲野党が結束を強め、全国各地での市民と野党と労働者の共闘を強めよう。 

   そして7月の参議院選挙では、改憲を阻むため護憲議席の飛躍を目指そう。