今週の新社会

三段跳びで〝改憲〟狙う
岸田政権の6カ月
ロシアの侵攻を踏み台に

2022/05/04
   岸田政権が発足して6カ月。台湾海峡の緊張や、ロシアのウクライナ侵攻を踏み台に、ホップ・ステップ・ジャンプと三段跳びで改憲にむかっている。小心者の岸田文雄首相は、走り出したらブレーキは効かないのか。 

     岸田文雄首相は就任後初の所信表明演説で、「ミサイル防衛能力などの強化」と「専守防衛」を語った。日本はすでに米国の「対中国包囲網」に組み込まれていたが、それでも昨年10月の総選挙前の発言は抑制的だった。

豹変した岸田首相 

     ところが、昨年10月の総選挙で改憲派が4分の3近くの議席を占めると、岸田首相は豹変した。

     12月の臨時国会の所信表明演説では「敵基地攻撃能力も含め、あらゆる選択肢を排除せず検討」と明言。「現行憲法がふさわしいものかどうか、国会議員が国民の議論を喚起しよう」と踏み込み、これまでの「専守防衛」と「公務員の憲法順守義務」を踏みにじったのだ。 

     安倍晋三元首相の答弁すら「憲法の議論を期待する」というものであったが、それをも踏み越えた。 

     日本は今年1月にオーストラリアとの2+2(外務・防衛担当閣僚会議)で「日豪円滑化協定」を結んだ。日米安保条約以外の他国との準軍事協定は初めてだ。4月にはフィリピンとこの種の協定締結の協議をはじめた。また、「台湾有事」を想定した沖縄・南西諸島の軍事基地化も公然化させた。

毎週開催の憲法審 

     岸田政権は政策実現には野党の切り崩しが必須とばかり、国民民主党を抱き込んだ。総選挙後すぐに、維新の会と国民民主党は憲法審査会の毎週開催を申し入れた。これまでの、慣例は破られ、毎週開催となり、「自由討議」から採決で意見集約を強行するようになった。

日米同盟を拡大へ 

     そして、ロシアのウクライナ侵攻以降、岸田政権はジャンプした。 

      国会で「ウクライナは明日の台湾」、「米国は日本を守るのか」との合唱がわきおこり、岸田首相も一段とヒートアップ。 

      安倍元首相の「核シェアリング」提唱には、「非核3原則の立場から認められない」と言いつつ、「日米同盟の拡大は抑止力」(米国の核の傘依存)を国会答弁でも強調した。 

      岸田首相は今年3月の自民党大会で、「国際秩序の再構築」「国連安保理改革」の実現に努力すると力説し、中露をターゲットに国連「改革」をかかげ、日本の常任理事国入りも狙う。 

      それには、軍事力行使が可能でなければならず、9条改憲と一体だ。日本は米国とともに世界を分断し、「新冷戦体制」の主役を買うつもりか。 

      7月の参院選に向けて、野党共闘を強固にし、議席の3分の1を確保しよう。 

      そして岸田政権の暴走にハドメをかけよう。