鎌田 慧 連載コラム
「沈思実行」

統一教会汚染内閣の出発 第113回

2022/08/24
 安倍元首相が統一教会二世の怨みの銃弾を受けて死亡したあと、安倍礼賛記事は右派系雑誌などにすこしあっただけ。世間は信者からカネをむしり取っていたカルト宗教が、名前を変えて生き残り、政権と結びついていた事実の暴露に、驚愕した。


 狙撃された政治家への同情よりも、信者たちの応援をえて、国会に席を占めた議員たちへの嫌悪感がひろがった。庶民感覚は真っ当だ。


それであわてた岸田内閣、急遽、イメチェン改造内閣を組閣した。が、結局は統一教会隠し失敗内閣、というか、岸田汚染内閣というべき結果で終った。


 「長期政権」を誇った安倍元首相が、旧統一教会の友好団体のイベントに、韓鶴子総裁を讃えるビデオメッセージを送っていたのだから、その汚染度は並大抵ではない。


 隠したくとも自民党の大半が統一教会に汚染されている。非汚染議員をみつけて組閣するのはむずかしかったようだ。


 安倍元首相が参院比例区の統一教会票を、秘書官の井上義行に割り振り、統一教会が実弟の岸信夫前防衛大臣の選挙運動を応援していた事実などもあきらかになった。


 日本人信者から、徹底的にカネを収奪しようという統一教会の欲望が、安倍支持の「愛国者」たちと共存する。なんとも不思議で、矛盾に満ちた関係だ。


 統一教会は岸信介、安倍晋太郎、安倍晋三の三代にわたる政治家と関係が深い。そして福田赳夫元首相、福田康夫元首相の三代目・福田達夫自民党前総務会長は、統一教会が指弾されている現状にたいして、「正直に言う。なにが問題か、ぼくはよくわからない」と宣(のたま)わったのだ。


 汚染大臣の7人が閣外に去った。岸防衛大臣は安保担当首相補佐官になり、萩生田光一経済産業大臣は自民党政調会長になった。


 が、山際大志郎、林芳正、加藤勝信、寺田稔など、汚染議員も入閣したから、なにが組閣の原則なのか、さっばり不明。「汚染国葬」内閣というべきか。


 政治家になってなにをするか。なにもない。家業の政治家を継いだ自民党三代目たちが、日本を滅ぼしそうだ。