鎌田 慧 連載コラム
「沈思実行」

亡国の悪ガキ三代目  第118回

2022/10/05
  燎原(りょうげん)の火のように」とわたしは形容して言うのだが、岸田文雄首相の「国葬」に反対する運動は、日本列島に急速にひろがった。福島原発事故のあとの原発反対運動、平和憲法を骨抜きにする安保法制にたいする反対運動、そして国葬反対。 

  これからの日本をの憂う市民が、街に出て抗議行動に参加するようになった。ほとんどが年配者で、かつて学生運動や労組で活躍したひとたちが多くを占めている。が、残念ながら、労組の最大組織「連合」は、この間、動いていない。連合の右傾化は、芳野友子会長の出現に象徴される。 

  国葬反対運動のあと、平和運動、脱原発運動とともに、若ものたちが参加しやすい運動へ、どう脱皮するかが問われている。 

  わたしが、国葬に怒りを感じたのは「閣議決定」で勝手に決めた自民党の思い上がりを許せなかったからだ。集団的自衛権の決定もそうだったが、自民党執行部には、議会制民主主義を大事にしよう、との精神はない。長期政権がつくり出した頽たい廃はい、腐敗だ。 

  岸田首相はこれまでハト派のイメージがあった「宏池会」出身だが、タカ派が支配する安倍派に忖度、迎合するしか政権を維持できない。安倍晋三氏の死後、早速「国葬」を決定したのは、麻生太郎氏の使し嗾そうと伝えられているが、右翼評論家の小川榮太郎氏説(「週刊文春」9月29日号)もある。チャンスとばかり、国葬を政治利用しようという魂胆だ。 

  そのために公表17億円、実際は倍以上かかる税金の浪費だ。わたしの怒りは税金を私物化する、岸田三代目、麻生三代目、福田、中曽根など昔の名前ででてくる、自民党の悪ガキ、「亡国の徒」だ。安倍も三代目。 

  岸田はいう。「一代遡ると、安倍晋太郎幹事長の時も、私の父である岸田文武が経理局長でした。親子二代にわたって、幹事長と経理局長のコンビを組ませてもらいました」(「Hanada」11月号)。 

  いまや、三代目たちは、敵基地攻撃の準備をはじめよう、そのためのミサイルを買ってこよう、というほどまでになった