鎌田 慧 連載コラム
「沈思実行」

増税論よさようなら 第129回

2022/12/28
    岸田ゾーゼイ首相の人気は、ますます落ち目。べつに期待していたわけではない。が、安倍派の「清和会」があまりにも酷かったし、後継の菅は、陰気だった。岸田は「軽武装・経済優先」の池田勇人由来の「宏池会」会長。リベラルな派閥が売り物だった。

  が、いまやおなじ穴のムジナ。いきなり「国葬」を打ち上げ、全国的な「国葬反対」運動を引き起こした。閣僚の辞任つづきでボロボロ。やることなすこと世論を刺激し、ついに増税。それも軍備強化のためだから安倍亡霊の支配のまま。

  台湾有事=日本有事。このフィクションを宣伝、とにかく米軍需産業の廃品を大量に買いつける、アメリカ完全中毒。「新たな脅威に対し、日本人の暮らしと命を守り続ける」との危機感を前置きにして「責任ある財源を考えるべきであり、今を生きる国民が自らの責任として、しっかりその重みを背負って対応すべきものである」と岸田ご託宣。

  なぜ、戦争が「自らの責任」なんだ。戦争をさせないのが、お前の責任じゃないか、と猛然たる批判があがった。生活を犠牲にして軍備を強める。戦争国家に逆走する悲惨。安倍・菅・岸田の地獄への三段跳び。

  昔、ある首相は、しもじもの家庭のごみ箱を開けて歩いたとの伝説をつくった。それでも戦争をやった。政治家三代目の岸田首相も、高級割烹での密談にふけるばかりでなく、巷に満ちている生活苦の生の声を聴いて歩いたらどうか。

  スーパーの時間切れ割引食品を買い、電気料金を節約のためテレビもよほどでなければみない。新聞は図書館で見る。年金が下がって、医療費が上がった高齢者の生活防衛策。 

     「復興特別所得税」の一部を「防衛目的税」に流用して、期間を長期化させる。「復興」を食い物にするな。だれも増税に賛成していない。 

   米軍ともども戦う「集団的自衛権」を行使せず、「敵基地攻撃」の準備のためのミサイルを買わなければ、防衛費倍増は必要ない。

  「軍備増強のための増税」は絶対反対。この運動を強めよう。