鎌田 慧 連載コラム
「沈思実行」

戦後最悪の岸田悪政  第130回

2023/01/11
    昨年の国葬強行以来、岸田文雄首相の悪政の執行は、もはや暴走といえる。

    誰がハンドルを握っているのか、岸田に意識があるのか、不安が強まっている。今年一年、岸田がまだ運転席にいる、と考えればゾッとさせられる。 

     2021年10月に就任した岸田は、たまたまのこととはいえ、日本憲政史上100代目の首相となった。が、この100代と56代岸信介は、「両岸」悪政治家、として日本史に悪名を遺すだろう。

    岸は60年日米安保条約改定によって、米国との軍事同盟に強く結びつけられた日本をつくった。岸とくらべると岸田は政治家としての迫力には欠けるものの、日本の将来を危険にさらす点においては岸以上といえる。 

      敵基地を長距離ミサイルで攻撃する、とは安倍晋三の子どもじみた夢だったかもしれない。が、その資金を揃える軍事費の倍増を、閣議で決定したのは、リベラル自称の岸田だ。

     「聞き上手」と自称していたが、自民党右派と財界の言い分にだけ耳を貸す、無思想、無感覚は恥ずべきことだ。広島出身と言いながらも、政治家の三代目だから東京生まれの東京育ち。選挙区が広島にあるだけだ。もう一つ、日本の安全を脅かしているのが、原発政策だ。

    これはさすがに「アンダーコントロール」の安倍元首相でさえ、新増設などと危険な暴言は吐かなかった。福島の現状と将来のコストをまともに考えたら、口がさけてもいえるものではなかった。

  しかし、岸田は経産省と財界に巣食う原発マフィアの欲望に従って、新増設ばかりか、建て替え、60年以上の操業を認める大転換を図った。リプレースひとつとってみても、どこの原発のどこに、どのようにして再建するのか。いまある廃炉の原発をどうするのか。誰が考えてもムリ、キケン。

  岸田首相よ。官僚や経営者の言うに任せないで、一回でも自分の頭で考えろ。従うだけが自己の権力維持には都合がいいとしても、それでひとびとの平和な生活を保障できるのか。岸田自民党政権では、いのちが危ない。政権交代を本気で考えよう。