鎌田 慧 連載コラム
「沈思実行」

岸田三世悪政止まらず  第150回

2023/06/14
  「売り家と唐様で書く三代目」。三代目は遊芸の果てに家産を失くす、とは先人の教訓だ。が、政治家三代目は国を売る国賊となりそうだ。 

  アメリカの戦略に追随するだけの防衛政策、それが三代目安倍晋三・岸田文雄の「米日軍事同盟強化」策だ。 
 
  安倍氏は集団的自衛権行使の容認、敵基地攻撃の能力保持で、米軍とともに戦う戦争ごっこの基盤をつくった。防衛費倍増を押しつけられ、これからは自分で守れ、と言われながら、米日合同訓練強化、沖縄・先島諸島にミサイルを並べ立てる方針だ。

  兵器製造の基盤強化と武器輸出促進政策は岸田氏。米製兵器をバカ買いした安倍政治の後始末と言うべきか。冷たくしてきた日本の防衛産業にもカネを配らなければならない、ということだ。 

  池田勇人、宮澤喜一などの「宏池会」を背負い、ヒロシマを選挙区にしていることもあって、ハト派のはずなのだが、四代目に跡を継がせるためには、理想も理念もモヌケの殻。 

  ひとりいれば足りる政務担当の秘書官を、ふたりにして長男をはめこんだ。四代目に箔をつけさせるためだったが、親のこころ子知らず。外遊先では公用車を乗り回して顰ひん蹙しゅくを買い、首相公邸に遊び仲間を招いて組閣ごっこ。ついに「泣いて馬ば 謖しょくを斬る」羽目に陥った。 

  安倍三代目のように、都内のホテルを借り切って前夜祭、翌日は新宿御苑で地元の支援者も招いて国費の「桜を見る会」。これとくらべれば、公邸での悪ふざけなどは他愛のないものだったのだが。 

  それはともかく、鳴り物入りで開催された「G 7 サミット」。ヒロシマでの会談なら核廃絶に道筋をつけるか、と期待されたのだが、むしろ「抑止力」としての核保有の正当性を確認しただけだ。安倍氏の米軍との「核共有」案を否定することもない。 

  そして、外国人の命など歯牙にもかけない「入管法」の改悪、個人情報を国家が管理する「マイナンバーカード」の取得強制、さらにGX(グリーン・トランスフォーメーション)の美名で暴走する原発回帰、そして次は憲法の虐殺だ。悪政極まれり!