今週の新社会

人権後進国・日本
自公・維新・国民は恥を知れ
難民申請者を命の危険にさらす大改悪

2023/06/21
国会正門前の集会で、「非正規滞在者の命を奪うな」と訴える反貧困ネットワークの瀬戸大作さん=6月7日

「入管難民法」成立


     人権の国際標準に反する改定入管難民法が6月9日、参院本会議で与党や維新、国民などの賛成で可決、成立した。難民申請者を命の危険にさらす出身国に強制送還できる大改悪だ。政府と国会が、正常な人権感覚を持たない多数派に占拠されていることを示した。

     名古屋入管施設で死亡に追い込まれたスリランカ人女性、ウィシュマ・サンダマリさんの妹、ワヨミさんとポールニマさんが委員会と本会議を傍聴。目前で強行された改悪案採決は、事実を明らかにし、謝罪を求める遺族の心を踏みにじり、難民申請者を「不法在留」と悪者にして命の危険の淵に置く。 

     強行採決の週だけでも、5日と7日にそれぞれ5500人と4000人の市民や労働者が国会正門前で「入管法廃案一択」を掲げて抗議、集会は夜遅くまで続けられた。 

      院外の盛り上がりに励まされた立憲民主党会派と共産党は、参院法務委で採決を強行しようとする公明党の杉久武法務委員長解任決議案を提出。解任案否決後は、斎藤健法相の問責決議案で徹底抗戦した。しかし、自公の与党ばかりか、維新と国民民主も賛成して成立させた。 

      グローバル難民フォーラムが、今年12月にジュネーブで開かれる。共同議長国の日本が「日本には難民はほとんどいない。クルド人で難民認定された人は1人しかいない」と宣言したら参加国はどう思うかと、本会議で杉法務委員長解任決議案の賛成討論したのは立憲民主会派の社民党の福島瑞穂議員。  

      共産党の仁比聡平議員も参院本会議で、法案に断固反対として、日に日に反対の声が拡がったのは、法案の根底に底深い人権侵害の構造があるからに他ならないと指摘。野党対案は当事者団体や研究者、人権団体、国際人権機関が追求してきた難民条約や国際人権基準に基づく希望の道と主張した。 

      平和フォーラムの藤本泰成共同代表は7日の国会正門前の緊急集会で、入管法は戦後、在日朝鮮人を追い返すことから始まったと指摘。多くの人権侵害を引き起こしてきたが、その差別の種を残してきてしまったのではないかと訴えた。 

      参院法務委で委員以外の自民党議員が委員長席を取り巻き、採決を強行させたこと自体、議論を尽くしたと言えない。少数者の人権を無視するこの国のあり方を正さなくてはならない。