今週の新社会

文化と暮らし破壊の
インボイス制度導入
廃業や衰退の危機

2023/07/19
外国特派員協会でインボイス導入中止記者会見。
左から西位輝実、植田益朗、岡本麻弥、湖東京至の各氏=6月22日、東京・有楽町の外国特派員協会


アニメ業界の著名人らが訴え


     10月のインボイス制度導入によって、声優などの廃業やアニメ産業が衰退の危機に追い込まれている。アニメ業界の著名人が6月22日、外国特派員協会で導入中止を訴えた。「クールジャパン」」で日本のアニメを世界に売り出そうという政府が、業界の衰退を進める愚は明らかだ。 

      会見したのは、『ガンダム』シリーズなどのアニメプロデューサー植田益朗さん、『機動戦士Zガンダム』エマ・シーン役で人気声優の岡本麻弥さん、『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない』のキャラクターデザインや『呪術廻戦』総作画監督を務めたアニメーターの西位輝実さん。そして税理士で元静岡大学教授の湖東京至さん。

      アニメ業界の未来を考える会代表世話人の植田さんは、インボイス導入で「アニメクリエイターの3割が廃業とアンケートに回答」、「声優の70%は年収300万円以下」、「クールジャパンの山のすそ野を削る自殺行為」と訴え、「制度導入を決めた時点では予想もできなかった感染症蔓延、戦争、物価高。世界では100カ国以上が付加価値税(消費税)減税をしている。逆に税率を上げない〝ステルス増税〟を行う政府と、問題を報じない大手メディアは共犯だ」と告発した。 

      湖東さんは、「納税者の基本的人権を守る納税者権利憲章や納税者権利保護法制定なしにインボイス制度はあり得ない。OECDでこれらがないのは日本だけで世界に恥ずべき状況だ」と指摘した。 

      声優、俳優、歌手と多彩な活動をし、インボイスに反対する声優団体・VOICTION(ボイクション)共同代表の岡本さんは、38年間やってきた声優をやめようと考えている1人と自己紹介。 

      ニューヨークの語学学校で、日本のアニメの主題歌をみんなが歌ってくれたことを誇らしく感じたと、涙ぐみながら語り、「それがインボイス制度で破壊されようとしている」と訴え、エンタメ業界だけでなく、多種多様な業界に悪影響を与え、いずれ日本のすべての人を襲うと警告した。 

      最後に「日本の漫画、アニメーション、その技術やそれを支える人々の暮らしを守ってほしい」と訴えた。