道しるべ

野党「新党」が発足
立憲野党の今後にどう影響

2020/09/15
野党「新党」は9月15日、発足する。その基本的な性格はどのようなものか。民主党系と共産党と社民党の「3極」が「2極」に再編されるか否かなど、立憲野党の今後にどう影響するだろうか。

 「新党」の「綱領案」の勘所は、二十余年前の民主党結党時からのスタンスを堅持している。

 「象徴天皇制の下」に憲法3原則を堅持し「未来志向の憲法論議」を行う事、「日米同盟を軸」にするという事だ。「日米関係」ならぬ「日米同盟」という表現は、日米安保条約を含意する。そこで、「新党」は資本主義と社会主義の「中道」ではなく、憲法擁護と憲法改悪の「中道」路線といってよい。

「原発ゼロ」を明記

 一方で、リーマン・ショックや原発事故、コロナ禍で広がった新自由主義への反省も反映されている。旧民主党の「市場原理主義を徹底」なる表現は消え、「過度な自己責任論」否定と「格差解消」、そして「原発ゼロ」が明記された。

 「新党」規約案は、国会議員中心の性格が濃厚だ。3年前、「希望」旋風で民進党が解体し、市民に押されて立憲民主党ができた経過からもうかがえるが、大衆的な組織を欠いた議員党は、特に小選区制度下ではもろく離合集散しやすい。

  しかも、組織的もろさを抱えて「新党」が漕ぎ出す海は大荒れだ。8年近く悪政を重ねた政権が退陣したのに、野党の支持率は低迷し自民支持が急上昇した。

 米中対立の狭間で日本は日米安保軸か、9条に立った外交か選択を迫られる。コロナ禍対策の財政負担はどの階級に負わせるべきか、枝野幸男氏も消費減税などを示唆したが、大胆な所得再配分政策を提起できるか。その都度、「新党」は揺れかねない。

社民党はどう対応

 自公維の勢いを阻むには、野党共闘や大衆運動を通じて「新党」がよい方向に向かうよう努めたいが、合わせて「第3極」が育つことが不可欠。「新党」と共産党の選挙協力の仲立ちだけではない。

 憲法完全実施を掲げ大資本と対決する勢力に支持が集まれ
ば、「新党」も配慮するだろう。社民党の「社会民主党宣言」は「累進制強化、法人税見直し」「自衛隊縮小...改編・解消し非武装の日本をめざす」「日米安保条約の平和友好条約への転換」など謳い、「新党網領」とは隔たりが大きい。社民党が「第3極」に期待する反原発・環境運動、反貧困運動、労働運動と歩み続けられるか。「新党」に解消せず、間近の総選挙に臨めるか、注目される。