今週の新社会

沖縄県に伝達せず
米軍兵士の性暴力事件

2024/07/10
嘉手納基地に向かって静かに抗議するフラワーデモ。
横断幕の中央は糸数慶子元参院議員=6月28日、沖縄市、吉田ちあきさんのFBから


政府と県警 意図的
県議選まで隠す

   
沖縄県は、昨年12月に起きた米空軍兵長ブレノン・ワシントン被告(25歳)による16歳未満少女への性暴力事件を6月25日、『琉球新報』の報道で知った。同紙が裁判記事簿を調べて明らかになったもので、被告の起訴は3月。政府・外務省や県警から県への伝達はなかった。

     この半年、沖縄では6月16日投票の県議選の動向が注目されていた。96年に起きた元米海兵隊員による20歳の女性強姦殺人・死体遺棄事件が直後の沖縄県議選に悪影響を与えたことから、政府が今回の事件を隠ぺいしたのは明らかだ。 

     事件が起きたのは昨年12月24日。28日には、辺野古新基地建設の大浦湾の地盤改良工事を巡り、国は沖縄県に代わって工事を承認する戦後初めての代執行を行った。工事着手は1月10日。その後、うるま市の陸上自衛隊訓練施設建設問題で防衛省は4月11日、建設断念を発表した。 

     米国を訪問した岸田文雄首相は4月11日の首脳会談でバイデン大統領と、自衛隊と米軍の指揮・統制の向上など防衛協力を深めるとともに、経済安全保障や宇宙など幅広い分野での連携強化を確認した。そして、エマニュエル駐日米大使が5月17日、「米軍基地の地ならし」のため石垣島と宮古島を訪問した。 

     5月26日には読よみ谷たん」村そんで、海兵隊員が女性をレイプしようとしてけがを負わせた。被疑者は6月17日に起訴されたが、事件が公表されたのは県議選後の6月25日だ。 

     このように、沖縄では半年の間に重大なことが続いている。 

     玉城デニー知事はレイプ事件に対して、「非人道的で卑劣な犯罪が再び発覚したということは、女性の人権や尊厳もないがしろにするものであり、断じて許せるものではない」と強い憤りを表明。 

     嘉手納基地のニコラス・エバンス司令官とマシュー・ドルボ沖縄県総領事を6月27日、県庁に呼び池田竹州副知事が玉城知事名の抗議文を手渡した。 

     市民も嘉手納基地前で6月28日、抗議のフラワーデモを行い、参加者から「軍事基地がなければ起きない犯罪。それを沖縄に一方的に押し付けて、子どもたちや女の人、弱い人に犠牲を強いて何なんですか、この社会は」などと、強い抗議の声を上げた。