今週の新社会

岸田首相退陣へ

2024/08/28
安倍晋三元首相の国葬に反対する国会前集会=22年8月31日、国会正門前


国民の怒りがトドメ


総選挙の準備を

  岸田文雄首相は8月14日、来月行われる自民党総裁選への不出馬を表明、裏金問題などによる低支持率で退陣に追い込まれた。岸田氏は安倍・菅内閣の強権政治を踏襲して戦争国家へと日米軍事同盟強化路線を暴走、国民に「ノー!」を突き付けられた。自民復活を狙う次期政権で秋の解散・総選挙の可能性は高い。

 「国民の声を聞く耳」「新しい資本主義」を掲げて21年10月に第100代首相に就任した岸田首相だが、金融所得の課税強化による格差是正方針は直後の株価下落で放棄に追い込まれた。 

  同月末の総選挙で議席を減らしたが、自民単独で絶対安定多数の261議席を得て安倍政権の経済政策=アベノミクスと戦争国家路線を暴走。世論の猛反対の中、22年9月には安倍晋三元首相の国葬も強行した。

  今回の総裁選は乱立が予想されるが、誰が総裁になろうと、自民党は変われない。自民党政治の源泉が財界と米政権にあるからだ。 

  政治資金規正法の大きな抜け穴から生まれた裏金問題の解明はあいまいなまま、「10年後の領収書公開」に象徴されるように、対策も灰色に終わった。金権腐敗政治一掃には政権交代しかない。 

  岸田氏は広島市を選挙区としながら、ヒロシマ・ナガサキが求める核兵器禁止条約に背を向け、23年5月の広島サミットでは核抑止論を正当化した。 

  22年12月には「安保関連三文書」を閣議決定して軍事費を2倍化、「専守防衛」をかなぐり捨てて敵基地攻撃能力保有、NATOとの連携に踏み込んで米軍など数カ国軍との演習を日常化している。さらに防衛産業のてこ入れや経済版秘密保護法など、戦争できる国づくりに余念なく、改憲に執念を燃やしてきた。  

  他方、物価高に追いつかない国民生活を尻目に、最低賃金改定や年金水準に抜本的な手を打とうとしない。ジェンダー格差や外国人差別が横行する人権後進国を転換するには政権交代しかなく、新政権の下で想定される解散・総選挙は大きなチャンス。小選挙区での統一候補づくりは待ったなしだ。