今週の新社会

東海第二原発 運転認めず
94万人避難できない 「人格権侵害」の危険

2021/04/06
「東海第二原発 再稼働認めず」の下げビラが掲げられる
と、水戸地裁前では歓喜の声が上がった=3月18日


 水戸地裁は3月18日、東海第二原発(日本原子力発電、茨城県東海村)の運転差止めを求めた住民の訴えを認める判決を下した。前田英子裁判長は首都圏唯一の原発の30キロ圏内に暮らす94万人の避難計画は、実現可能ではないとした。日本原電は19日、控訴した。(茨城発)
 
水戸地裁判決

12年7月の提訴以来8年半、争点は地震や津波、火山噴火等の想定、事故時の住民避難対策だった。判決は地震等の対策に看過し難い過誤・欠落があるとは認められないとしたが、策定中も含め、30キロ圏内14市町村の避難計画や防災計画の実現可能性を否定、人格権侵害の具体的危険があると判示した。

 「再稼働禁止判決」で弁護団は、裁判所前に「勝訴」「東海第二原発、再稼働認めず」「首都圏も守られた」と下げビラを掲げ、待ち構えた原告や支援者は歓声と拍手で応えた。

 その後、常陽藝文センターで記者会見と報告集会を開き、河合弘之弁護団長は、「避難できないこと一本を根拠にした停止判決は分かりやすく、史上初だ。自治体の責任にも関することで影響は広く、歴史的な判決」と評価した。

 原告団の相沢一正共同代表は、「福島第一原発事故の教訓が生かされたが、原電が対策工事を完成させ再稼働を強行する可能性もある。水戸地裁勝利を踏まえて、闘いを継続しよう」と呼びかけた。

 集会では、同じ日に出た伊方原発運転差止め裁判の広島高裁異議審で運転停止仮処分を取り消す不当決定に抗議する集会参加者とオンラインで結び、エールを交換した。