今週の新社会

困窮の春が来た
物価値上げ、生活直撃
賃上げ、消費税ゼロに!

2022/04/13
(図)母子世帯の年間収入(税込)平均値の推移(単位:万円)=独立行政法人 労働政策研究機構HPより

    4月に入り、生活必需品の値上げラッシュが続いている。原材料の高騰は価格を押し上げ、悪化する雇用と低い賃金、社会保障関係費の削減と自己負担が追い打ちをかける。日本はまさに「困窮の春」を迎えている。いよいよ、抜本的な税制の見直しが必要だ。

     値上げラッシュ 

    物価値上げは多岐にわたり、パンや麺類などの原材料である小麦は17・3%引上げられる。今回の値上げは、北米産小麦の不作だが、今後ウクライナ危機により、さらに値上げが予測される。 

    ただし、大幅な値上げがされた食パン、食用油、電気代などは、ウクライナ危機の影響が出る前だ。各国がコロナ抑制から経済優先にかじを切ったため、世界的な需要増に対して、天候不順で原材料の供給量が少ないのが原因だ。     

    その上に、ウクライナ情勢が加わり、需給のバランスが崩れたのだ。さらに、政府・日銀の「円安」政策が輸入物価全体を引き上げている。

低所得層を直撃 

     賃金・年金などの収入が増えない。実質賃金はこの25年間低く抑えられ、公的年金は今年も4月(受取は6月)から0・4%の減額だ。また、医療・介護の社会保険料は負担増が続く。   

     その結果、多くの人々は貧困または貧困と隣り合わせの生活だ。さらに失業者の生活だ。2022年1月時点では、完全失業者は前月比6万人増の191万人、休業者数は59万人増えて249万人であり、職がない人は合わせて440万人だ。また、子どもの貧困率が50%に近い一人親・シングルマザーの生活も困窮する(図)。 

     今後、雇用保険の負担増(働き手は現在月900円→1500円)引き上げ、75 歳以上の高齢者の医療費も窓口負担(単身で年収200万円以上、2人世帯で320万円以上は従来の1割負担から2割負担)が10月に控えている。
  
     消費税をゼロに 

     今、政治がすべきことは消費税減税だ。特に飲食料品は現在8%の税率をゼロにすべきだ。欧州連合は食料品などの付加価値税(消費税)の引下げを提案している。消費税の減税こそ効果的な政策だ。

  また、最低賃金や年金給付の引上げ、高い社会保険料の減額も必要だ。 

  米国のバイデン大統領は大企業・富裕者への増税を明言した。日本では、消費税導入以降33年間、大企業・富裕者への大幅な減税が行われ、巨万の富が一部に偏在している。税制の応能負担の強化で税源を確保し、生活支援・社会保険料の軽減と社会保障制度の充実が急務だ