今週の新社会

改憲勢力の暴走許さない
平和と暮らし 闘いは続く
おかざき彩子さん健闘

2022/07/20
 打ち上げ演説で格差と貧困をなくすと訴えた=  9日、神戸市
     
     野党勢力が分断され、選挙への期待が高まらない中、自前の候補者を擁立した新社会党は、フル回転した。自民党大勝と改憲発議必要議席を許したが、改憲や軍事費増大よりも暮らしの改善の声が圧倒的に多い。院内の多数派をひるませる日常活動の出番だ。

     ウクライナ戦争をテコとした連日の軍拡キャンペーンが、平和憲法の存立を危うくし、立憲勢力も一部腰が引け、共闘をこわす分断の手も入った。 

     自民党に有利な世論形成が進み、参議院選挙の選挙区投票率は52・25%( 前回48・80%)と、過去4番目の低さにとどまった。 

     改憲議席を与えないためにも勝たなければならない定数1の選挙区で、立憲野党が勝てたのは青森、長野、沖縄の3県のみ。岩手では30年ぶり、宮城は16年に一人区になって以来、初めて自民候補が当選した。沖縄ですらオール沖縄の伊波洋一氏がかろうじて当選できた。

   複数選挙区でも立憲野党の共闘ができず、前回に続いて大阪、兵庫で立憲勢力は1議席もとれなかった。 

     新社会党推薦でおかざき彩子候補が名簿登載された社民党は、政党要件が維持できるか否かがマスコミと、そして存続してほしいと願う支持者の関心事だった。 

     新社会党や社民党、支持者は最後まであきらめず、比例1議席確保で福島みずほ党首が5選を果たし、得票数125万8621票、得票率2・38%を得て、政党要件を維持。立憲民主と共産が票を減らす中、前進した。    

     候補の奮闘あってこそ

     新社会党はおかざき彩子候補を社民党名簿に登載して全国で比例選挙を闘った。これまでの単なる応援ではなく、本物の共闘を闘うことができた。12年ぶりの全国選挙は、無名の候補者をいかに訴えきるか、組織力と人とのつながりが問われた。 

     運動を加速させたのは候補者の急速な成長だった。「女 シングル ひとりでも生きていける社会」。ロスジェネ世代の当事者としての訴えは、生きづらさを抱えた人たちと化学反応を起こし、大きく広がった。 

     これまで家族の引きこもりを隠していた人が、自分たちのせいではない、声を上げようと変わった。非正規の息子さんを抱えるシングルマザーは「非正規の共通認識を持てて頑張る気持ちができた、体を壊しても働き続けなくてはならない、ひとりになった時の救済がない、よりどころになる政治が必要」と声を上げてくれた。

  選挙は終わったが、憲法をめぐる攻防は激しくなる。平和はすべての前提だ。そして人として尊厳をもって働く労働条件や雇用形態の改善なしには日本社会は劣化するばかりだ。「人らしく働き、生きる」、この当たり前の声が、政治や社会に反映するよう声を上げ続ける。