今週の新社会

生活への配慮 皆無
23年度岸田大軍拡予算
〝違憲装備〟目白押し

2023/01/11
     国民の闘いを大きく盛り上げ、国の形を変えてしまう大軍拡にストップをかけなければ!

   政府は12月23日、平和国家から戦争国家への転換となる23 年度当初予算案を閣議決定した。一般会計総額は、過去最大の114兆3812億円で前年比6兆7848億円増。最大の問題は1954年の自衛隊発足以来、過去最大の軍事費で、対前年26%増の6兆8219億円。トマホークなど攻撃兵器の購入などが並ぶ。一方、物価高などに苦しむ国民生活への配慮は皆無だ。

  増額した軍事費1兆4768億円の増額分のほとんどは、1兆971億円増の米国からのFMS調達費〈注〉の増額が占める。

  イージス搭載艦配備予定で、数百発とみられる長距離巡航ミサイル・トマホーク取得費2113億円や、最終的に1兆円を超えると見込まれるイージス・システム搭載艦建造費2208億円、ステルス戦闘機F35A・B各8機、計2505億円などだ。

  割高で未納入や清算金未払いなどがあるFMS調達費を4倍に増やした。その結果、兵器ローンの新規後年度負担は前年度の1・6倍となる7兆6049億円。これによって、次年度以降も自動的に軍事費が増額となっていく構造が強まった。

  この巨額の軍事費をまかなうため、建設国債4343億円を戦後初めて発行する。これまで禁じ手だった軍事費調達に国債発行の道が開かれ、歯止めをまた一つ失った。

  23年度から5年間で軍事費を43兆円にして約17兆円増やそうとしているが、歳出削減や決算剰余金、税外収入で賄えず、数年後には復興特別所得税の流用や新たな増税となるのは明らか。

  「歴史的転換」の軍事偏重予算だが、岸田文雄首相は国会での議論も、主権者の国民にも説明もないまま、身内だけの密室でシナリオをつくった。

  これに対する主権者の反発は強い。12月17~18日に行われた毎日新聞の全国世論調査では、内閣支持25%(前回31%)、不支持69%(同62%)、政権が打ち出した巨額の軍事費財源についても、「増税」賛成23%、反対69%、「社会保障など政策経費削減」賛成20%、反対73%、「国債発行」賛成33%、反対52%と軒並み反対が圧倒している。

  岸田首相は12月27日、通常国会に備えるとして公選法違反疑惑の秋葉賢也復興相と、差別発言で追及されている杉田水脈総務政務官を更迭した。国民生活無視、米政権と財界、そして党内極右派にすり寄って延命を図る政権は総辞職しかない。

  〈注〉FMSとは、米国政府が、武器輸出管理法等に基づき、外国または国際機関に対し兵器等を有償で提供する軍事援助。米政府の条件を受け入れることが条件となる。