今週の新社会

「休戦」を「平和協定」に
朝鮮戦争から70年

2023/08/02
統一旗を掲げアピール=7月14日、東京・神田駿河台の連合会館

「米朝声明」の実行を
   戦争の危機から平和へ 国際シンポ



  日本の植民地支配後は南北分断。1950年から3年にわたる朝鮮戦争があり、今年は1953年7月27日の休戦協定署名から節目の70年。協定は「最終的な平和解決が成立するまで朝鮮における戦争行為とあらゆる武力行使の完全な停止を保証」とするが、平和協定どころか緊張は高まるばかりだ。

  「戦争危機から平和へ、転換への道しるべ」と銘打って7月14日、東京・神田駿河台の連合会館で「朝鮮戦争停戦70年国際シンポジウム」が開かれた。平和フォーラムなど14団体で作る実行委員会が主催した。 

  世界各国の反戦運動団体が所属する「反戦反人種差別行動」(ANSWER、本部=ワシントン)のブライアン・ベッカー事務総長がビデオ参加、米国のアジア政策を概括し、戦争の軸足をアジアに移した米を批判した。 

  ベッカー氏は、米国の軍産複合体など戦争で利益を得る勢力にとって朝鮮半島の緊張激化はこの上なくおいしいと指摘。「彼らは巨額の資金と巨大な軍事力、主流メディアを支配しているが、私たちには共通の敵と共通の目的がある。平和と人類の協力、平等、相互尊重、正義に基づいた新しい世界の構築は可能」と述べた。 

  韓国の開城公団前理事長の金鎮香氏(韓半島平和経済会議議長)は、「平和と繁栄の奇跡 開城公団と南北経済協力の真実」と題し、開城工業団地での協力関係構築が民衆レベルの信頼回復や相互尊重など平和的価値、平和的経済の展望による経済的価値、南北間の軍事緊張の緩和と安全装置となる安保的価値を生み出したと報告した。 

  ジャーナリストで元共同通信記者の岡田充氏はオンラインで、米一国では中国に対抗できないと日本などに大軍拡を求める統合抑止戦略をとるバイデン政権の方針を解説、菅・バイデン会談から1年半で岸田政権の安保関連3文書と軍事費の対GDP比2%を方針化させたと指摘。 

  米日韓同盟に必須な日韓関係改善を主導し、朝鮮半島の核抑止力強化、東アジア版NATO構築のため朝鮮半島の緊張激化を作り出していると強調。これらに対抗するのはシンガポールでの米朝共同声明(18年)の再確認と実行であり、軍事的脅威は外交でなくすしかないと訴えた。 

  朝鮮大学校の林裕哲准教授は、朝鮮半島は帝国主義覇権と民族自主を求める進歩的人民の世界的闘争の結節点と指摘。朝鮮民族に分断の災禍を背負わせることで存在しうる世界秩序に大義はないと強調し、「停戦体制を平和体制に転換するとともに、自主的平和統一を実現することは、朝鮮民族にとって真の解放であり、世界平和にとって偉大な勝利となる」と述べた。 

  最後に朝鮮半島の平和を求めるアピールを採択、「統一旗」を掲げ1日も早い平和統一への行動を誓った。