今週の新社会

政府・東電が強行
放射能汚染水海洋への放出

2023/09/06
「強引で独裁的」 官邸、東電前などで抗議

 
福島県漁連との文書約束を一方的に破って、政府・東電は8月24日、福島第一原発の放射能汚染水の海洋投棄を強行した。通常の原発から出るトリチウム排水と異なり、核燃料デブリに接した汚染水には多くの放射性核種が混入・残留している。海を核廃棄物のごみ捨て場にする政府・東電の暴挙は決して許せない。新社会党は同日、抗議声明を発表した。 


  岸田文雄首相は8月22日、放射能汚染水を海に放出すると発表した。
発表当日の官邸前、翌日の議員会館前、海洋投棄開始の24日の東電本店前と、抗議行動が繰り広げられた。 

  首相は決定に当たって全漁連とは面会したが、「関係者の理解なしにはいかなる処分もしない」と約束した福島県漁連とは会おうとしなかった。全漁連も福島県漁連も4年連続して海洋投棄反対の決議をしている。それでも首相は「理解は進んでいる」と言い放った。 

  さようなら原発1000万人アクションが呼びかけ、約400人が東電本店前に集まった24日の抗議では、まず福島の「これ以上海を汚すな!市民会議」(織田千代、佐藤和良両共同代表)の声明が読み上げられた。代読した片岡輝美さんは「強引で独裁的な姿勢に言葉を失う」と語気を強め、「何が何でも流そうという姿勢は、著しく民主主義に反する」「汚染水は発生責任者であり、事故の加害者でもある東京電力が、回収し安全に保管する義務がある」と強く放出中止を求めた。 

  韓国から来日したキム・ポンニョさんは、「なぜ今まで汚染水を溜めてきたのか」と問い、「それは危険なものだからだ」と指摘。そして、政府・東電の「処理水は安全」とするプロパガンダをマスメディアが垂れ流す日本社会に警鐘を鳴らした。 

  原水禁の谷雅志事務局長は、「安全を事業推進側が言うな」と厳しく批判し、「流されてしまったから終わりではない」と闘いの継続を訴えた。 

  政府や東電は「風評対策と安全確保に万全を期す」と繰り返すが、その費用は税金と電気料金だ。