今週の新社会

反対署名、反戦ツアーも
ノースドックに揚陸艇部隊
「有事」の拠点に

2023/10/11
横浜港の中央部に位置するノースドック

かながわ平和憲法を守る会

   
戦後、米軍に接収されて米軍基地となっている横浜港中央地区のノースドックに揚陸艇部隊が配備される。朝鮮戦争やベトナム戦争で兵器、弾薬の積出し、受入れ等の拠点だったノースドックに再び血生臭さが漂う。

    ベトナム戦争終盤の1972年、米軍戦車の修理で横浜港と相模原総合補給廠しょうを往復するトレーラーを労働組合員と市民が約100日間止めた「戦車闘争」。決め手となったのは村雨橋の重量制限で、当時の飛鳥田一雄横浜市長が発動した。 

   「ノースドックへの揚陸艇部隊配備」の発表に対し、「かながわ平和憲法を守る会」は9月23日、「横浜港を前線基地・出撃基地化させるな! 横浜ノースドックを視る」反戦ツアーを行った。

  参加者は、リムピース事務局の星野潔さんからノースドックの現状と揚陸鑑部隊の配備について聞いた。 

     星野さんは、(ノースドックは)米陸軍の輸送の拠点、米海兵隊の輸送・行動の中継地点、陸上自衛隊も出動拠点にしており、「有事」に部隊を展開する際のRSOI(受け入れ、駐留作戦準備、前方展開、戦力統合)の拠点となっていると機能や使われ方を説明した。 

    また、本牧埠頭D突堤は米軍のコンテナ船の拠点、鈴繁埠頭に大型輸送艦が接岸し、軍事演習の資材の積み下ろしをしているなど、ノースドック以外の横浜港も軍事使用されていることを指摘した。 

    星野さんはさらに、ノースドックには多数の揚陸艇が備蓄され、相模総合補給敞及び韓国大邱(テグ)のキャンプキャロルと一体となってアメリカのAPS(陸軍事前配備貯蔵)の5カ所の1つであることを明らかにした。 

    台湾有事が喧伝されている中、「ノースドックは戦争の実質的拠点となる。相手国からの攻撃対象となり得る」とも述べた。 

    外務省は横浜市に、揚陸艇搬入時に運行のための部隊の配備はなく、運用されないと約束していたにもかかわらず、その約束は守られなかった。 

  一方で、大都市・横浜の中心部に戦争の拠点が作られようとしていることを市民のほとんどが知らないまま事態が進行している。

  「 かながわ平和憲法を守る会」では現在、横浜市に対しての配備反対署名運動を展開している。 (神奈川発)