今週の新社会

国が変わるのを
待ってられない!

2024/05/01
ボトムアップで政治変える
LIN−Net集会


   「国が変わるのを待っていられない! 地域・自治体から希望の選択を」と4月20日、東京都内でローカルイニシアチブネットワ―ク(LIN―Net=リンネット)が集会を開いた(写真)。玉城デニー沖縄県知事や保坂展人世田谷区長らが民主主義の現状と地域からの改革を訴え、ボトムアップ型の民主主義に向けて参加者とともに語り合った。

    会場300人と130人のオンライン参加で熱気にあふれる中、最初に玉城知事が特別報告した。 

    玉城知事は、辺野古基地建設に係る代執行と民主主義の問題を提起。その中で明らかになったのは、県知事選挙と県民投票で示された「建設反対」の民意が国によって無視される民主主義のあり方と、代執行における法治主義の歪みだ。

   シンポジウムの司会をした中島岳志東京工業大教授は、代執行は沖縄だけの問題ではない、(国と地方の関係を対等平等から上意下達の関係に戻す)地方自治法の改「正」にかかわる問題だと指摘。 

     これを受けて保坂区長は、「国は対話する気はない、国が決めたらやるという。政権にかつてあった寛容さ、民主主義が感じられない」と訴えた。 

     岸本聡子杉並区長は、「果たして自治はあったのか」と区長に就任して、区職員の国の指示待ち姿勢を間近に見た課題を報告。そして、「沖縄で行われているのは不正義であり、その容認に私たちも加担しており、沖縄の問題は自治の今日的課題を明らかにしている」と語った。 

     更に岸本区長は自治がなぜすたれていったのか、政治を自分事としていくのが住民自治だと訴えた。それに呼応して、議会の多様性の必要性を、20代、30代の女性議員を誕生させ、政治分野のジェンダーギャップ解消をめざす「FIFTYSPROJCT」代表の能條桃子さんが活動を報告した。 

    分科会でも住民に最も近く、直接民主主義性も備えた自治の現場から、民主主義をつくり、国に先んじた政策事例を広げようと参加者の議論が行われた。

                        ◇ 

LIN―Net 

     22年12月発足。「伝統的既得権」と「新自由主義的な公的セクター解体」が交錯する政治構図から、現状をより良く修復し、再生させていく社会包摂型の「いのちの政治」をめざす。数は力なりの政治から一人ひとりの人権と尊厳を大事にしたダイバーシティへの政治転換を地域、自治体から図ろうと結成。 

    5つの目標に、地域主権と民主主義、気候危機への取組み、ケアを社会の真ん中に位置づける、人権尊重と多様性を認める社会、市民が参画し共同するまちづくりを掲げる。 

     世話人は保坂世田谷区長、岸本杉並区長、阿部裕行多摩市長の他に都・区・市議や学者、有識者からなる。