道しるべ

地方自治否定 廃案に

2024/05/15
国の地方支配「法案」

  今国会に提出されている「地方自治法改定案」は、国と地方の対等関係を国が地方に指示できるようにするもので、地方自治の否定だ。政府・与党は審議入りを目論むが、廃案にすべきだ。

  改定案は、「新型コロナウイルスへの対応で自治体への国の権限が明確化されていなかった」ので「感染症や災害など重大な事態が発生した場合、国が自治体に指示できる」とする。 

  地方制度調査会の「ポストコロナの経済社会に対応する地方制度のあり方に関する答申」(23年12月)を踏まえたという建て前の法案だ。 

想定外への対応⁉ 

  答申は、①広域かつ甚大な風水害、②大規模地震、③新型コロナによる感染症危機を挙げ、「これまでの経験に基づく備えでは対応できない事態」と「従来の法制では想定されていなかった事態」が相次いだと指摘。

  具体的には、①「全国の感染症状況等の正確な把握・分析に必要な各地域における感染動向等が地方公共団体から国に対して迅速に提供されない局面」と、②「国から地方公共団体に大量に発出された通知に新型コロナ対応に追われる保健所等の現場では対応できなかった」とする。 

  しかし、起きていたのは、国からの自治体への情報提供要請の内容やコロナ禍政策の執行方法が毎日のように変化し、国が用意したシステムやアプリも直ちに使いものにならなかった事態であり、保健所が対応できなかったのは特定部署への業務集中という新型コロナ対策の構造の問題だった。 

失敗を逆手にとり

 
政府は新型コロナ対策の失敗を総括すべきなのに、自治体に必要な指示をできなかったと指摘。「個別の法律に規定がなくても国が自治体に必要な指示を行うことができる特例を設ける」とする。 

  地方自治法では、感染症は感染症法、災害は災害対策法など個別の法律に基づいて、国は自治体に指示できる。地方自治、地方分権の理念から当然のことだ。 

  しかし、改定案では「国の地方公共団体に対する補充的指示」として、「個別法の規定では想定されていない事態のため個別法の指示が行使できず、国民の生命等の保護のため特に必要な場合」は、「閣議決定」で国が自治体に指示することが可能となる。 

  非常時とか緊急時とはうたっていないが、国会審議もなく、閣議決定だけで国が自治体を支配・管理できることになる。憲法に基づく地方自治の否定であり、戦時法制に繋がるもので、廃案しかない。