鎌田 慧 連載コラム
「沈思実行」

新首相迎撃集会
連載第23回

2020/09/15
 一難去ってまた一難。「コロナとの闘いは第三次大戦」と得意の大言壮語。田原総一朗に語った安倍首相、舌の根も乾かぬ内に、病気を理由に、あっさり戦線逃亡してしまった。

 そのあとを「継承」のキーワードで、自民党派閥の多数の支持を得て、菅義偉官房長官が継ぐことになった。対立候補の岸田文雄政調会長は、「安倍時代の成果を高く評価する」などと言うのだから、言うまでもない「おなじ穴の格」。

 なにしろ、アベ政策の継続を唯一の公約とする新首相だから、改憲策動、辺野古新基地建設、原発推進。そして集団的自衛権容認の防衛政策はそのまま。さらに数々のアベスキャンダルを解明することなどありえない。

 首相指名直後の18日、夜6時半から東京・日比谷野外音楽堂で、「さようなら原発首都圏集会」を開催する。コロナ厄災後、初の大衆集会であり、菅新首相初の抗議デモとなる。

 福島原発事故後の安倍首相、最大のウソが「アンダー・コントロール」だった。東京オリンピックを開催して、改憲の景気付けにしようと、世界に向かって放った欺瞞語だった。

 事故から9年半がたったが、いまだ原子炉に近づくことはできず。デブリがどこにあるのかさえわからない。事故当時54基もあった原発のうち、21基が廃炉。残る33基のうち、再稼働したのは4基だけである。それでも原発が、「ベースロード」などという。原子力資料情報室の調査では、事故後、停止している原発維持のため、投資された金額が、10兆円になるという。

 この欄でも書いてきたが、青森県六ヶ所村の核再処理工場が、もんじゅに続いて廃棄されるのは、時間の問題。着工から四半世紀が経っても、「来年稼働させます」「来年こそ」と延期を発表してきた。

 世にも不思議な工場だ。電力会社が経費を負担しているのだが、その5兆円は各家庭の電気料金と国税。ふざけるな、と怒って「さようなら原発!」と言おう。