鎌田 慧 連載コラム
「沈思実行」

「科学より空想へ」政権   第128回

2022/12/21
  軍拡と増税。岸田悪政恣( ほしいまま)。防衛予算を倍増、そのための増税。安倍政権さえ踏み切らなかった悪業。岸田はそれを一身に引き受けた。 
  
  「国葬」の強行が、悪魔との取引の合図だったようだ。

  そしてさらに原発大増設。ついこの間まで、政府方針は「原発の依存度を可能な限り低減する」だった。ところが、全面的な撤回。まるで夢遊病者だ。経産省の「原発行動指針案」。グリーントランスフォーメーションとは、原発を脱炭素の「牽引役」とする逆行。

  原発の新増設、建て替え、さらには、革新軽水炉、小型モジュール炉の開発など、これから膨大な資金が必要になる。だから、建設費や安全対策費は国が支援する、と腰の軽い財界御用聞き政府。

  原発に投資するよりは、自然エネルギーの開発にむかうのが合理的だ。ところが、これから三菱重工や日立製作所などへ、原発開発資金を拠出する。 

  福島原発の大事故から11 年が経って、事故の恐怖のほとぼりが冷めた、と先走っている懲りない面々。まだ原発にしがみつく、非科学的な、空想的資本主義者と御用政権。

  原発の絶対的矛盾は、避難先がない、日常的な労働者被曝、放射性廃棄物の処分場がない。そして地震大国。これらの悪条件を考えると、一刻も早く原発から脱出しようと思う。それが倫理的、かつ論理的な政策だ。

  ところが、原発で利益をえてきた原発マフィアたちは、まるでハイエナのように、死に体の老朽原発にむしゃぶりついて、最後の肉を食いちぎろうとしている。醜悪だ。

  福島事故ではだれも責任を取らなかった。また事故が起きても、責任を取らないつもりだ。結局、被災者は泣き寝入り。

  岸田内閣の獲得目標は、40年の運転期間を60年に引き延ばす再稼働。もっとも簡便かつ危険な悪徳商法だ。原発会社は、関西電力のように、高浜町の森山栄治元助役とのスキャンダルばかりか、電力販売を巡るカルテルなど、社会へ巨大な悪力を供給してきた。

  「あとは野となれ、山となれ」。この無責任、夢想政権は、日本を破壊する。