鎌田 慧 連載コラム
「沈思実行」

米軍戦争の犠牲区域 第135号

2023/02/15
    沖縄・南西諸島のひとつ、宮古島。そこから長い橋を渡って伊良部島。そして、小さな小さな下地島がある。この島の真ん中を、3000㍍の大滑走路が走っている。といっても、ターミナルや売店があるわけではない。

    日本航空や全日空のパイロット養成用に使われてきた。その訓練は最近では米国でやっているようだ。だから、長大な滑走路が島の真ん中にあるだけ、とみえる風景はやや異様だった。軍事利用されるのではないか、と見学にいって不安だった。

    と、この空港を米海兵隊が訓練に使いたい、と米軍が沖縄県に要請した、という。いよいよきたのか、との恐怖をあたえられた。しかし、この空港は軍事目的には使用しない、との覚え書き、1971年、琉球政府と日本政府との確認書「屋良覚書」がある。

    79年にも沖縄県と政府間で「緊急時を除いて民間機が使用」との文書もある。それに依拠して玉城デニー知事は「その方針、方向を堅持していく」と強調している。

     鹿児島県種子島そばの馬毛島は、日本政府が買収した途端に、自衛隊基地にされる、と発表された。さらに露骨なのは与那国島だ。

    台湾が望まれる、与那国島は「どなん」(渡難)の島と呼ばれている。75年の海洋博の頃、石垣島まで行ったが、チケットを取れなかった。そのあとも、上空まで飛行してなお雲厚く引き返した。19人乗りのカナダ製小型機だった。銘酒「どなん」の社長は、石油基地建設に反対だった。

    その島に自衛隊が駐留する話が降ってきた。過疎化対策が賛成派の主張だった。2016年、沿岸監視隊が駐留した。その後、ミサイル部隊がけろりとして配備された。いったん基地になれば、なにをしても自由。だまし討ちなのだ。

    台湾から1 1 0㌔。戦前、戦後とも台湾との交流が盛んな平和な島だ。しかし、米国の「台湾有事」の宣伝とともに、石垣島、宮古島、奄美大島とともにミサイル基地にされ、最前線になった。

   戦争になったら逃げ場がない。また沖縄を犠牲地にするのか。本土の平和運動が問われている。